【チカナガぷらっとホーム】北宇和高校の生徒が暮らす、多世代交流施設ってどんな場所?(愛媛/鬼北町)
北宇和高校の生徒が暮らす「チカナガぷらっとホーム」へ!
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愛媛県鬼北町の近永地区にある「チカナガぷらっとホーム」。
一見すると地域の交流施設ですが、実は愛媛県立北宇和高校に通う生徒たちが暮らす寮としての役割も持っています。

県内外から集まった高校生たちが共同生活を送りながら、地域の人たちと関われる場所です。
今回、鬼北町の担当者や北宇和高校の先生、寮生活を支えるハウスマスター、実際にここで暮らす寮生にお話を伺いました。
寮生たちの暮らしや地域の人との交流にも注目しながら、チカナガぷらっとホームについて詳しくご紹介します!
高校がある町を未来へ。鬼北町が取り組む「高校魅力化」

「地元から高校がなくなるということは、病院がなくなるのと同じくらい、地域にとって大きなダメージなんです」
そう話すのは、鬼北町企画振興課の中川さん。
鬼北町にある愛媛県立北宇和高校では、町と学校が連携しながら、学校の魅力を高める「高校魅力化」に取り組んでいます。
その取り組みのひとつが、全国から生徒を受け入れる全国募集です。

始めたばかりの頃は、県外で開催される説明会などに参加しても、なかなか興味を持ってもらえなかったそう。
それでも地道に活動を続け、現在では北宇和高校について調べ、自ら「ここに行きたい」と県外からやってくる生徒も増えています。

北宇和高校には、部活動を目的に県外から入学する生徒もいます。
なかでも馬術部は、愛媛県内の高校では北宇和高校にしかない珍しい部活動。

県外から問い合わせが寄せられることもあり、「馬術部に入りたい」と入学を決める生徒もいるそうです。

また、レスリング部やソフトテニス部など、指導者や部活動に魅力を感じて北宇和高校を選ぶ生徒もいます。
そんな県内外から集まる生徒たちが、親元を離れて鬼北町で高校生活を送るための住まいとなっているのが「チカナガぷらっとホーム」です。
親元を離れて始まる寮生活。共同生活の中で育つ力
寮生たちは食事や洗濯、掃除など、これまで家族に任せていたことを自分で行います。
寮での共同生活を支えているのが、ハウスマスターの存在です。

さまざまな地域から集まった高校生が一緒に暮らしているため、ときには意見が合わないこともあります。
そんなときも、生徒自身が少し距離を取ったり、行動する時間をずらしたりしながら、少しずつ関係に「折り合い」をつけていくそうです。
ハウスマスターの水野さんは、そんな寮生たちの姿を見ながら、相手との違いを受け入れる「寛容さ」も身についてきているのではないかと感じています。

毎日の暮らしのなかで、生徒たちにも少しずつ変化が見られます。
「これまで朝なかなか起きられなかった生徒が自分で起きられるようになるなど、生活面での成長を感じる」と話す北宇和高校の上甲先生。
生徒たちに期待しているのは、「自主性」からさらに一歩進んだ「主体性」です。
「地域のイベントなどにも関わりながら、自分の考えを持ち、自信を持って発信できる生徒が増えてほしい」と話していました。
高校生と地域をつなぐ「チカナガぷらっとホーム」

「チカナガぷらっとホーム」の特徴は、高校生が暮らす寮でありながら、地域の人も利用できる多世代交流施設であること。
施設を学校の中ではなく、近永のまちなかに設けた背景には、高校生と地域の人が自然に関われる場所にしたいという思いがありました。
実際に、チカナガぷらっとホームでは、さまざまな世代との交流が生まれています。

過去には、農業科の生徒たちが、施設のキッチンを利用して地元の特産品を使った「きじカレー」の試食会を開催したこともあります。
キッチンで作ったできたてのカレーを、生徒と地域の人が同じテーブルを囲んで味わう交流の場となりました。

「できたての温かいご飯を食べさせたい」という思いから、北宇和高校同窓会の方々による手作りの食事が振る舞われる機会があるそうです。
寮生たちも設営を手伝ったり、食事を作ってくれた方へ直接お礼を伝えたりと、高校生と地域の人が関わる時間になっています。
そんななか、世代を超えた意外な共通点が見つかることもあります。
寮生の原田さんと、同窓会の方がアイドルグループや「推し」の話で盛り上がったこともあるのだとか。

出店したイベントでは、寮生が子どもたちと関わる機会もありました。
ハウスマスターの西河さんが印象に残っていると話すのは、子ども向けの缶バッジ作り体験。
最初は接客に慣れていなかった寮生たちも、少しコツを伝えると、作り方を説明したり、一緒に絵を描いたりと、自分たちで子どもたちと関われるようになったそうです。

さまざまな世代が同じ場所で過ごし、ちょっとした会話やイベントをきっかけに距離が縮まることも、「チカナガぷらっとホーム」ならではの魅力です。
寮生に聞く、鬼北町での暮らし
実際に「チカナガぷらっとホーム」で暮らす寮生たちは、鬼北町での生活をどのように感じているのでしょうか。

埼玉県から北宇和高校へ進学した2年生の原田さんは、鬼北町で暮らし始めてから、日常の小さなことにも幸せを感じるようになったと話します。
便利な環境で暮らしていた頃とは違い、鬼北町では思い通りにならないこともあります。

原田さんおすすめのリフレッシュスポット
そんな生活を経験したことで「我慢することを覚えた」と話す一方で、「ちっちゃいことが幸せだと思えるようになりました」と笑顔を見せてくれました。
寮に帰れば誰かがいて、話したいときには話せる。そんな仲間と過ごす時間も、原田さんが感じている寮生活の楽しさのひとつです。

続いて話を聞いたのは、2年生の児玉さん。
入学当初は、宇和島市にある自宅から北宇和高校へ通っていましたが、部活動を終えて帰宅するのは21時を過ぎることもあり、現在は寮で生活しています。
寮に入ってからは、これまで家族に任せていた部屋の片付けや衣類の整理なども、自分でするようになりました。
「少しずつ自立できているのかなと思います」と児玉さん。
また、鬼北町では、道ですれ違った人に挨拶をすると返してくれることが多く、地域の人の温かさを感じているそうです。

児玉さんは、後輩の体力作りに付き合ったことをきっかけにウォーキングが日課に
そして、高校入学を機に寮生活を始めた1年生の森本さん。
もともと相撲の経験があり、現在はレスリング部で練習に励んでいます。
初めての寮生活ですが、先輩やハウスマスターの支えもあり、今ではすっかり馴染んでいるそうです。

「みんなでワイワイと食卓を囲む時間が一番楽しい」と語る児玉さんに、森本さんも笑顔で同意。
「普段は自分の部屋で過ごすことも多いけれど、食堂に降りるとみんなが温かく話しかけてくれる。その時間が本当に楽しいです」と話してくれました。
特別なイベントだけではなく、仲間と一緒に食卓を囲む何気ない時間も、寮生活の楽しみになっているようです。

出身地も学年も、北宇和高校を選んだ理由もそれぞれ違う寮生たち。
親元を離れて仲間と暮らす毎日の中で、それぞれが鬼北町での新しい生活を送っています。
鬼北町での経験を、それぞれの未来へ
北宇和高校で学び、寮生活を送る生徒たち。
それぞれに、これから挑戦したいことや将来の目標があります。
寮生活を楽しんでいる森本さんには、挑戦したいことがあるそう。
高校入学後に始めたレスリングでは、インターハイ出場が現在の目標です。

さらに、北宇和高校で学びたいことのひとつが農業です。
実家でお米を作っており、AIやドローンなどを活用する「スマート農業」にも興味があるという森本さん。
高校で農業について学び、将来につなげていきたいと話してくれました。
一方、2年生の児玉さんが目指しているのは教員です。
進学先についても、教員免許を取得できる大学を視野に入れているそうです。
高校生活を通して、それぞれの目標に向かって進んでいる生徒たち。
そんな生徒たちを見守る鬼北町では、卒業後も町とのつながりを持ち続けてもらいたいという思いがあります。
北宇和高校を卒業した生徒の多くは、進学や就職を機に一度町を離れます。

中川さんは、高校時代を過ごした鬼北町を卒業後も思い出し、何らかの形で地域と関わってもらえたらと話します。
卒業生が将来、地域おこし協力隊などの形で鬼北町に戻ってくることも期待しているそうです。

「チカナガぷらっとホーム」は、高校生の暮らしを支えるだけでなく、高校生と地域の人が出会い、つながる場所でもあります。
ここで過ごした時間や地域の人とのつながりが、卒業後も鬼北町と関わるきっかけのひとつになっていくのかもしれません。
■「チカナガぷらっとホーム」
【お問合せ先】鬼北町役場企画振興課
【住所】愛媛県北宇和郡鬼北町大字近永800番地1
【電話番号】0895-45-1111