Z世代にも人気の短歌をみんなで繋ぐ! 「連句」大会にて日本語であそぼう! 【愛媛/松山市】

  

連句の醍醐味は複数人で作るからこそ生まれる「ユニークな作品」! 【県民総合文化祭】

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こんにちは!
曽我美なつめです。
毎年愛媛県内で秋に開催される「県民総合文化祭」。

その名の通り、音楽やアート、文芸に演劇など、県内で様々な文化活動をされている方が公演や発表を行うこちらのイベント。
約3ヶ月の期間中にたくさんの催しが開催される中から、今回私が参加してきたのは「連句大会」です!

連句とは、いわゆる短歌の長句と呼ばれる五七五の部分と、短句と呼ばれる七七の部分を、複数人でどんどん繋げてひとつの長い作品を作ったもの。

元々昔から読書が好きだったり、国語が得意教科ではありましたが…。
当然ながら、こういった文芸活動に参加するのは私も人生で初めて!
一体どんな活動が行われているのか、その模様をレポートしたいと思います!

複数人で楽しめる、ちょっぴり特殊でユニークな文芸分野。
それが連句です!

31文字で表現する短歌は140字で発言するSNSと性質が似ている!と若い世代に人気に。

わかりやすいルール説明のおかげで、初めての方でも気軽に取り組めますよ。

長年連句に親しむ人も多い一方で、毎年初心者の方もごくわずかですがいるんだそう。

元々文章を書くことが好きな私。
どんどん句を作るのが楽しくなっていきました♪

私が参加した今年の連句大会のプログラムでは、大まかに午前の部の表彰・講演と、午後の部の実作会を実施。
初心者でも入りやすいということで、今回は午後の部の実作会から参加してみました。

この日会場に集まっていたのはおよそ30人ほど、5~6名で1グループを作り、チームごとで連句を作る形になります。
私が入ったチームには、同じく初心者の人たちが多数。

グループを先導する”捌(さばき)”と呼ばれるリーダーには、連句の実践経験を長年詰む先生が入ってくださるので一安心です。
まず冒頭に先生から、連句の簡単なルール説明が。
今回私たちが取り組んだのは、五七五と七七を十八回繰り返す「半歌仙」と呼ばれるものです。

「決まった箇所で必ず季語を入れた句を作る」「なるべく幅広いジャンルの句を作る」「この箇所は絶対恋の歌を入れる」等々、半歌仙のルールを初心者にもわかりやすく解説してもらい、いざ先生のサポートを受けつつ連句づくりスタートです!

季語がわからない…という方も安心。
季語辞典の貸し出しもしています。

実作会が始まり、みんなで一緒に製作開始!
まずは一人ずつ句を考える時間です。

慣れている方の中には電子辞書を持参する方も。
確かに、あると絶対便利です…!

ある程度候補の句が出来たら、みんなで話し合ってどれを採用するか相談!

個々で句作り→相談・採用、を17回繰り返せば半歌仙の完成です。
時間内にできるかな?

カジュアルな言葉もどんどん使える◎ 連句や短歌は難しくないことに驚き!

最初に先生が作った句=発句は「肩こりをほぐす体操して湯冷め」というもの。
この五七五に続く七七の部分を、冬の季語を必ず使って作らなければいけません。

連句の基本的な流れとしては、まずは一ヵ所ごとに全員で力を合わせ5~10句程度を作り、その中から良さそうなものを相談して決める、という方法の繰り返し。

前の句の流れも多少汲みつつ、あまりにも近い内容だと面白くない。
最終的にはある種予想外で突飛な全体感の作品が出来た方が面白い、というのも、連句の難しさでもありユニークなところ。

最初はなかなか句が思いつかないと苦戦しつつも、「とりあえず作って出してみて!」という先生のアドバイスに従い、4つ5つと句を作るうちに、私を含めた初心者の方々も徐々にペンが動くようになっていきます。

作り始めこそ不慣れですが、徐々にコツを掴むと気楽に句が作れるように。

お菓子やお茶なども頂きつつ制作続行。
頭を使うので糖分があるのはありがたい…(笑)

「これいいですねえ」「うーん、でもこっちも捨てがたい…」という声があちこちから。

辞典とにらめっこしつつ制作。
「こんな季語があるの?」という発見も楽しいです。

先生の助言で、言い回しをほんの少し変えるだけで句の印象がかなり変わることも。

ときどき各季節の季語や月、花、恋といったテーマに沿った句を作る、という縛りのある箇所もありますが、季語すら使わなくていい!という箇所も半分ほどあります。

私たちが普段の生活で使うようなカジュアルな言葉もどんどん使ってOK!

マッチングアプリや食レポ、サイリウム、なんて言葉が出る事もあれば、実際のアイドルや妖怪の名前が飛び交うこともあり、時にはあまりにもユニークな句にテーブルで大きな笑い声が起こることも。

その中で初めて聴くような風流な言葉に「へえ~」と勉強になるタイミングもあったりと、非常に多彩な種類の言葉を使った句がどんどん出来ていきます。

あわせてなるべく様々な主題を使う事も連句のルールのひとつ。
花や生き物、食べ物やお酒、乗り物やスポーツ、色や音、行事や政治、人物や宗教といったいろんなカテゴリがあることも、連句が想像以上に自由でカジュアルなものであることを感じさせてくれますね。

すっかり夢中になり3時間があっという間。
そろそろ各チーム仕上がってくる頃です。

一度ボツにした句が後で使える事も。
「とにかくどんどん作る」ことがやはり大事ですね。

初心者チームも無事時間内に完成!
こうして見るとなかなかユニークな句ばかりです。

最後は各チームの口頭発表が行われ、実作会は無事終了しました。

時事ネタやユニークなネタが盛り込まれた句には会場のあちこちから笑いも。

連句を作り始めてから約3時間。
なんと初心者チームも制限時間内で、無事半歌仙の十八句を最後まで作ることに成功!

最後に各チームが自分のグループで作った連句を発表し、この日の実作会は無事終了。
初めて触れた連句の面白さを知り、日本語って楽しい!と改めて感じられた機会となった1日でした。

この日作った連句は、来年の連句大会の応募作品にも含まれるそう。
今年の入賞作品には、昨年の実作会で作ったものもいくつか入っていましたよ。

俳句や短歌といった文芸の分野は少し敷居が高そうにも見えますが、実は今20~30代を中心に全国的な”短歌ブーム”が来ていたりと注目を集めるジャンルにもなっています。

元々本を読むのが好きな方や、学生時代は国語が得意だったな、という人は特に、連句の世界に触れるとその面白さに目覚めるかも?
県文祭「連句大会」の実作会以外にも、ふだん愛媛県内では様々な方が連句を作る連句会の活動を定期的に行っています。

少しでも興味が湧いた方はぜひ、実際の連句会に参加してみてはいかがでしょうか。

■ 連句大会【令和5年度 県民総合文化祭】
開催時間/2023年11月23日(木)10:00~16:20
開催場所/愛媛県県民文化会館 本館第5・7会議室
開催住所/愛媛県松山市道後町2-5-1
駐車場/あり
料金/無料
お問い合わせ/愛媛県連句連盟(岡田)(089-923-9663)

reported by 曽我美なつめ
イマナニ体験レポート