【一笑堂】 伝統の今治銘菓 鶏卵饅頭、八代目が語るドラマ 【愛媛/今治市】

  

思わずにっこり! その美味しさの秘密とは

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創業から230年以上の歴史を持つ一笑堂。
寛政二年(1790)、今治の城下町にて創業以来、鶏卵のコクと芳醇な香りが特徴の代表銘菓「鶏卵饅頭」が人々を魅了してきました。

現在の店主は八代目 門脇忠常さん。
お菓子を召し上がるお客様の美味しい「一笑い」を追求し続ける老舗の暖簾には、今治の歴史とともに歩み、苦難をも乗り越えてきたドラマが織り込まれていました。

銘菓「鶏卵饅頭」と「一笑堂」誕生秘話

「一笑堂」のルーツは、およそ400年前に遡ります。
慶長の頃、今治の城下町大手門付近で製造されていた「蒸し饅頭」が、今治城を築城した藤堂高虎公の御愛顧を受け、今治藩御用達の茶菓子となりました。
機能的な港を備えた今治城のお膝元で、この地を訪れる内外の人々に愛されたお菓子であったことが想像できます。

今治藩へのお通い箱。後の大戦時には中に荷物を詰めて共に疎開したため、今治空襲の戦禍を逃れたという。

そして江戸後期、寛政2年(1790)に、初代代右衛門(ようえもん)さんが、水を使わず当時高価で貴重であった「鶏卵」を用いた「卵練り」にレシピを変更。
風味と滋養豊かな一口サイズ(直径約2cm)の「鶏卵饅頭」と改称して発売し、「蛭子屋(えびすや)」として創業したのが「一笑堂」の礎となりました。

なぜ2cmの饅頭になったのかは謎だそうですが、お茶菓子として上品にいただけだけるよう工夫されたサイズだったのかも知れませんね。
初代の細やかな心配りが感じられます。

今治銘菓「鶏卵饅頭」の誕生は、安土桃山から江戸へと時代が移り変わろうとしていた頃でした。

今治の歴史とともに歩んできた銘菓

明治初期には、今治在住の南画家・鱸 亀峰(すずき きほう)氏が、いつも笑顔で接客する四代目門脇慶治さんに着想を得て、今治城の石垣の上で扇をかざす「えびすさん」を描き、脇に「一笑堂」と書き添えたことから、店名を「一笑堂」と改称されました。

大正2年頃の店構え。
「和洋御菓子、一笑堂」の看板が掲げられています。

そして歴代店主の妥協なき菓子作りは、たくさんの職人さんたちにも支えられ、一笑堂の鶏卵饅頭は「今治銘菓」としてのブランドを確立していきました。

昭和初期、久万町(現在の久万高原町)への慰安旅行の様子。

昭和10年頃、店頭での従業員さんたちとの集合写真。

しかし昭和20年には、三度にわたり「今治空襲」に見舞われます。
焼け野原となった今治で、事業継続の危機を乗り越えたのが六代目門脇能和さんでした。
店舗の焼け跡から拾いあげた「焼鶏卵饅頭」の鉄板が、諦めかけていた六代目を奮い立たせたのです。

空襲を受けた店舗の瓦礫の中から六代目門脇能和さんが発見した、焼鶏卵饅頭の鉄板。

戦後復興を遂げた今治専門店会での催事の様子。左が、六代目門脇能和さんです。

瓦礫の山に絶望した六代目、一時はタオル業界への転身を考えたこともあったといいます。
機械を導入するなどアイデアあふれる人物だったそうで、写真のお姿から、明るくユニークなお人柄が窺えます。
時代の激流を逞しく乗り越え、一笑堂の味を現代に繋いでくださったのですね。

昭和41年「全国植樹祭」の際には、宮内庁より御買上げの栄を賜わり、天皇皇后両陛下がお召し上がりになりました。

モノクロテレビの頃の一笑堂のCMを写した一枚。
「伊予路の銘菓」「国立公園笠松山」の文字も読み取れます。

美味しいお菓子がつくる、お客様の「一笑い」を求めて

お客様の「美味しかったよ!」の声に支えられて、230年以上。
時代のニーズにしなやかに寄り添いながら、一笑堂はいまに至ります。

八代目門脇忠常さんは、旨みと食感のバランスなどを試行錯誤し、先代から受け継いだ生地の配合を改良しました。
その上、より美味しさが長持ちするように饅頭に包む「あん」の割合を増やすなど、美味を追求してきたのです。

八代目 門脇忠常さんご夫妻。
休日はお二人でしまなみ海道往復ランニングを楽しむタフな一面も。

鶏卵饅頭づくりは、早朝6時頃から始められます。
気温・湿度の違いや生地の具合をみながら、経験に裏打ちされた勘によって最適な蒸し時間や火加減を調整するなど、先代から受け継いだ伝統の味を育んでこられました。

一日およそ2,000個の鶏卵饅頭が製造され、愛媛県内だけでなく、日本橋三越本店や銀座三越、阪急うめだ本店、福岡三越などでも販売されています。

商品ラインナップには、定番の鶏卵饅頭に鉄板で焼印をつけた焼鶏卵饅頭の他、店頭でのみ販売の麩まんじゅうや、ダックワーズ、チョコがけ鶏卵饅頭もあり、伝統の味わいに店主のアイデアがプラスされ、美味しい笑顔があふれています。

今治城や今治港のすぐ側ですので、「おんまく花火大会」の会場最前線。
各種イベントの際にも、ちょっと立ち寄れる立地なのも嬉しいですね。

店内は、歴史の香りに「いま」をプラスした、和モダンな設え。

生麩の生地で自家製のこしあんを包んだ「麩まんじゅう」は、もちもちの食感につるんとしたのどごし。
笹の葉の香りが爽やかな和菓子です。

アーモンド風味のメレンゲを使った焼菓子「ダックワーズ」は、外はさっくり中はしっとりした味わい。
キャラメルクリームと洋酒漬チェリーの風味が楽しめます。

巴形の焼き色が香ばしい、焼鶏卵饅頭。

笹の葉香る麩まんじゅうは、店頭のみで購入できます。

さっくりとした食感としっとりした味わいのダックワーズも人気です。

伝統銘菓「鶏卵饅頭」を現代風にアレンジした「チョコがけ鶏卵饅頭」は、店内の冷凍庫から出してくださいますので、凍ったまま食べるのがおすすめです。
こちらも店舗でしか味わえない美味しさですので、ぜひ体験してくださいね。

お客様の思わぬニーズから誕生した「チョコがけ鶏卵饅頭」は、アイスのような食感。

鶏卵饅頭に、お客様ご希望のイラストや文字を焼き付けた「オリジナル鶏卵饅頭」も作成可能。
商品代金に、データ作成料プラス2,200円(税込)で相談に応じてくれます。
記念品やノベルティグッズにいかがでしょうか。

オーダーにあわせたオジナル鶏卵饅頭もご相談可能です。

コーヒーと鶏卵饅頭の新たな出会い

2023年から、鶏卵饅頭に合う豆を厳選したテイクアウトコーヒーが味わえるようになりました。
鶏卵饅頭との相性を考え、数種類の豆から選び抜いた「一笑堂ブレンド」を使用し、アイスコーヒーは氷にもこだわっています。

テイクアウトのコーヒーは、ハンドドリップとカフェオレがあります。

厳選した豆を使用し、丁寧に淹れてくださいます。

スッキリとした味わいの一笑堂ブレンド。
2個入りの「おかわり鶏卵饅頭」とセットでどうぞ。

ドリップバッグの販売もあるので、お菓子の詰め合わせとセットで手土産にも。

またもうひとつ、またもうひとつ……と、鶏卵饅頭がすすむ一笑堂ブレンドコーヒー。
甘いものと安らぎの香りでほっと一息ついて欲しい、大切な方への贈り物にも最適ですね。

筆文字の店内POPは、奥様の揮毫です。

「美味しいお菓子を召し上がるお客様の『一笑い』が何より幸せです!」と語る八代目。
お客様ニーズを楽しくキャッチしながら、ひたすらお客様の美味しい「一笑い」を創造し続けています。

各種詰め合わせは、公式サイトでもお買い求めいただけます。
一笑堂 公式HPはこちら

かまぼこの板の上にぷちっとサイズの鶏卵饅頭と日本茶のミニチュアは、お客様からのプレゼント。

店頭にはサイクルオアシスのスタンドもあり、サイクリストにも人気のスポットです。

しまなみ海道も近いとあって、古くからの馴染みのお客様だけでなくサイクリストの来訪も増えているとのこと。
海外からのお客様が立ち寄ってくださることもあるそうです。

「日々楽しみながら、新商品を考えたり美味しさを研究したりしています」と嬉しそうに語る八代目店主の笑顔がとても印象的でした。

一日一笑、一笑堂。
美味しい一笑いが、今治城下を照らし続けます。

■ 一笑堂
住所/愛媛県今治市中浜町1-1-21
TEL/0898-22-0295
営業時間/9:00~17:00
定休日/水曜日
禁煙・喫煙/禁煙
クレジットカード/VISA、Master、JCB、American Express
電子マネー・その他/Alipay+、WeChat Pay、UnionPay(銀聯)QRコード、COIN+、d払い、PayPay、LINE Pay、au PAY、楽天ペイ、J-coin Pay、Smart Code™
駐車場/あり(2台)
一笑堂 公式HPはこちら

reported by マリリン
ひめトレイル