消えた麦臼渕 かっぱ伝説の痕跡を追って、JR予土線沿線で現地調査! 【愛媛/宇和島市 PR】

  

かっぱがすんでいた「麦臼渕」?! 昭和の書籍に残された伝説をもとに、その謎に迫る!

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「妖怪」って、いると思いますか?
天狗、ツチノコ、化け猫、かっぱ……。
「そんなもの、いるわけないよ」と思いながらも、地域に伝わる伝説があるなら、調べてみたくなりますよね。

今回は地元の方のご協力を得て、愛媛県宇和島市三間町「元宗(もとむね)地区」に伝わる「かっぱ伝説」を大調査!
果たして、その痕跡を見つけ出すことはできるのでしょうか。

JR予土線を走る妖怪列車「かっぱうようよ号」

JR予土線(しまんとグリーンライン)は、四国南西部、愛媛県宇和島市と高知県四万十町を結ぶ、JR四国の路線です。

車窓から、のどかな田園風景や清らかな四万十川の流れなど美しい景色が楽しめるだけでなく、ユニークなラッピング列車が走る癒しの路線として、地域内外の皆さんに愛されています。
予土線(しまんとグリーンライン) 公式HPはこちら

JR予土線を走るユニークなラッピング列車たち。(左:しまんトロッコ、右:鉄道ホビートレイン)

なんとその中に、「四万十川にすむかっぱの世界」を表現した海洋堂ホビートレイン「かっぱうようよ号」という妖怪列車があるらしいのです!

こちらが「かっぱうようよ号」。時には「かっぱの鳴き声」を発するらしい。
「かっぱうようよ号」詳しくはこちら

堂々たる「かっぱうようよ」宣言ではないですか。
これは現地調査しなくては!

宇和島市三間町元宗地区に伝わる「麦臼渕のかっぱ」伝説

古来から人は、原因不明の現象や正体不明な生き物への「おそれ」や「不思議」を、「妖怪」や「妖精」ときには「未確認生物(UMA)」として描き、怖がったり親しんだりしてきました。

なにげない日常の暮らしの中には、たくさんの謎や不思議があります。
その存在に気付いた人々の豊かな感性が「妖怪たち」を生み出し、言い伝えられてきたのです。

それらが実在するのか、ただの空想の産物なのか……。
いまや動物園の人気者でもある「ゴリラ」や「パンダ」も、その生態が「謎」に包まれていた時代には「未確認生物(UMA)」だったそうですから、かっぱがいても不思議ではない気もしてきましたね。

かっぱって、どんな姿をしているのでしょう?
江戸期の文書の中にも、その姿が描かれています。

作者たちが実際にその姿を見たのか、もしくは伝え聞いたものなのかは不明ですが、「何かに遭遇した」のは確かなようです。

十返舎一九 作・画「河童尻子玉」 寛政10年(1798年)

鳥山石燕 画「百鬼夜行」 文化2年(1805年)

かっぱは、水辺の妖怪。
美しい水資源に恵まれた四国でも、猿猴(エンコウ・エンコ)・河太郎・ガーラなど、様々な名で呼ばれる「妖怪かっぱ」にまつわる伝説が各地に残されていますが、JR予土線二名駅すぐ側にも、「かっぱ伝説」が伝わる地域があります。

「日本最後の清流」として知られる四万十川の上流「三間川」流域にある、宇和島市三間町元宗地区。
昭和57年に刊行された「三間のむかしばなし」には、当時の小学5年生から聞き取ったと思われる「麦臼渕(むぎうすぶち)のかっぱ」が集録されています。

「三間のむかしばなし 民話・伝説」三間町教育委員会・三間町教頭会編(昭和57年)

「麦臼渕のかっぱ」を要約すると………
三間川には所々深い渕があるが、元宗の三間川が突き当たって曲がる所には、特に深い縁になって、こいを始め、川魚の多く生息している有名な麦臼渕がある。
昔ここにかっぱが住んでいて、子どもに相撲を挑んだり、きゅうりを盗んで食べたりと度々悪さをしていた。

三間のむかしばなし「麦臼渕のかっぱ」より引用

また、悪事をして人をからかったり、おさない子を川へ引き摺り込んでシリコダマをぬいたり、時には馬まで引き込んだといわれている。
しかし中には、失敗した話も伝えられている。

ある日、満徳寺(まんとくじ)の住職が、団子などが入った重箱を提げて寺に帰るところ、かっぱが重箱を奪おうとするので、捕まえて寺まで引きずって行き、寺男に命じて麦臼に縛り付けた。

三間のむかしばなし「麦臼渕のかっぱ」より引用

かっぱは寺男がいなくなったのを見計らって、なんとか逃げようともがき、重い石臼に縛られたまま、住処にしていた川の渕まで逃げた。
この話のあと、かっぱの逃げ込んだ渕を「麦臼渕」と呼ぶようになった。
かっぱもこれにこりたのか、これまでのような悪さはしなくなったという。

今では三間川のつけかえ工事によって、麦臼渕は「廃川」となったが、なお昔の面影を残している。

「三間のむかしばなし」には、よく似たお話がもう一話集録されているほか、「三間町誌」にも、麦臼渕とかっぱの伝説が記されていますが、今回はこの「麦臼渕のかっぱ」をもとに、調査を進めることにします。

このかっぱ伝説、町誌にも載るくらいですから、当時は地元でもなじみの深いお話だったようですが、かっぱが住んでいたという「麦臼渕」は廃川になっていて、かっぱ伝説自体も知る人が少なくなってきているとか。

かっぱのすみか「麦臼渕」は、もうなくなってしまったのでしょうか。
ということは…かっぱはもう、いない?!

「麦臼渕のかっぱ」の謎を追って、宇和島市三間町「元宗地区」に向かいました。

「麦臼渕とかっぱ」の謎を追って、いざ現地へ!

「麦臼渕のかっぱ」伝説が残る宇和島市三間町「元宗地区」最寄りの駅は、JR予土線宇和島駅から4駅目の「二名駅」です。

予土線にコトコト揺られて、やってきました。

JR予土線二名駅に降り立ちました。

青々とした稲の若葉が目に鮮やか!なんて美しい風景でしょう!

「三間川」が流れる宇和島市三間町は、古くから米どころとしても有名で、近くにある「道の駅みま」では、美味しい「三間米」が大人気。
「三間米」を使ったメニューやお弁当も販売されています。

あ!鉄道ホビートレイン!ホントに走ってるんですね。

筆者は愛媛県東予生まれですが、鉄道ホビートレインを生で見るのは初めて!
「なんちゃって新幹線」みたいなかわいい車両が四国を走ってるなんて、この日まで「南予の都市伝説」だと思っていました。

さて今回、ご一緒に「麦臼渕のかっぱ」の謎を追ってくださることになった地元の方と合流し、まずは伝説に登場する「満徳寺」を目指します。

まっすぐな気持ちで、満徳寺を目指します。

かっぱ伝説の寺、満徳寺

二名駅から15分ほど歩くと、「満徳寺」が見えてきました。
満徳寺は真宗大谷派の寺院。

当時の和尚さんに捕えられたかっぱが、麦臼に縛り付けられたという、かっぱ伝説の現場です。
妖怪かっぱを恐れず、お寺まで連れ帰ってお仕置きしてしまうのですから、なかなかの豪傑和尚さんだったようです。

満徳寺には60年ほど前まではご住職さんがいらっしゃったそうで、今も地元の方たちによって大切に管理されています。

地元の方は少年時代に、この広場でソフトボールをして遊んだそうです。
目を閉じると……子どもたちの歓声が。

奥の森では「シイノミ」を採ったそうで、炒って食べたらとても美味しかったんだとか。
満徳寺は、地元の皆さんの楽しい思い出がいっぱいの、大切な場所でもあるのですね。

満徳寺のすぐ側には、大きな「満徳寺池」があります。
いかにも「かっぱ」が潜んでいそうな雰囲気ですが、「麦臼淵のかっぱ」にあった「元宗の三間川が突き当たって曲がる所」とは異なるので、ここは「麦臼渕」ではないようです。

満徳寺池は今でも、元宗地区の農業用水として利用されているそうです。

「ブオー!ブオー!」と、だんだん大きくなるウシガエルの大合唱……。

ここにすむトンボなら、「麦臼渕」を知っているでしょうか。

古い地図をたよりに、麦臼渕を探す!

こちらは今回の重要資料の一つ、明治期に記された「和紙公図 元宗村」です。
左にある溜池(満徳寺池)の北東にある、紫色で塗られた場所が現在地「満徳寺」です。

前述の「麦臼渕のかっぱ」伝説と照らし合わせると、かっぱの逃走経路らしきルートが見えてきました。

麦臼を縛り付けられたまま、かっぱが逃げ出したルートの先に「麦臼渕」が?!

現在の元宗地区の位置図。

地元の方のお話によると、残念ながら、地域のご年配の方でも「麦臼渕」の正確な場所をご存じの方はもういらっしゃらないそうですが、この満徳寺から「かっぱの逃走経路」を辿ってみれば「麦臼渕」に行き着くことができるかも知れません!

かっぱは麦臼を縛り付けられたまま、この小道を通って逃走した可能性があります。

「あっ!」 すぐさま地元の方が、なにやら発見しました。

スイカの皮です。
まだ新しい……!
かっぱが食べた残骸でしょうか。

池の周りには、綺麗にかじられたトウモロコシまで!
これもかっぱの仕業でしょうか?!

かっぱと麦臼渕の痕跡を求め……予土線の踏切を渡って、さらに進みます。

地元の方のご案内で、元宗地区を東西に流れる三間川にかかる「三間川橋」のたもとにやってきました。
川向こうは隣の地区になるそうです。

三間川橋自体は、平成24年に完成した比較的新しい橋です。

ここで、前述の「和紙公図」と現地を照らし合わせてみます。

「このへんが麦臼渕じゃないかな……」と地元の方。

この辺りは少し深くなっていて、地元の方が子どもの頃に泳いで遊んだ場所だとか。
川の形は昭和40年代頃からあまり変わってないそうですが、「への字」に曲がっている地点でもあり、「麦臼渕のかっぱ」にあった「三間川には、所々深い渕があるが、元宗の三間川が突き当たって曲がる所には、特に深い渕縁になって……」という記述とも一致します。

でもここで「かっぱに引き摺り込まれる」なんて言い伝えは聞いたことがなく、「麦臼」にちなんだような地名も残っていないそう。
ただ、昔の人からは「危ないから、暗くなったらあそこへは行くな」というお話は聞いたことがあるそうです。

「ほらごらん、かっぱなんていないよ」と言わんばかりに、穏やかに流れる三間川。

「麦臼渕のかっぱ」には、「数台のポンプを招集して、旧麦臼渕の水換えをしてみたが、どうしても水をくみきることができなかった」という記述もありました。

和尚さんのお仕置きに観念した、かっぱの涙だったのでしょうか。
麦臼渕にくらす「かっぱ」への思いを胸に、好物「きゅうり」を捧げてみることにしました。

ほらほら!
地元の方が育てた特大きゅうりだよ!!

ピーヒョロヒョロヒョロー……トンビが笑っています。

ただの伝説なのか、それとも……

「麦臼渕のかっぱ」だけでなく、地域の言い伝えや伝説は時代の流れとともに消えてしまいつつあります。
しかし今回の調査をきかっけに予土線沿線の美しい自然を触れ、「いまでもかっぱは、きっとどこかに潜んでいるはず」と思わずにはいられませんでした。

あなたもJR予土線に乗って、かっぱ探しに出かけてみませんか?
「かっぱうようよ号」が、妖怪の世界へご案内します。

「かっぱうようよ号」なら、かっぱも一緒に探検してくれます。
「かっぱうようよ号」詳しくはこちら

もしも「麦臼渕」に関する情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、愛媛県南予地方局地域政策課まで情報をお寄せください。

愛媛県南予地方局地域政策課
TEL 0895-28-6143
E-mail nan-seisaku@pref.ehime.lg.jp

予土線利用促進対策協議会では、こんな素敵な旅ができる予土線を応援しようと【YODOSENサポーター】を募集しています。

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reported by イマナニ編集部 マリリン
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