伝統と挑戦が入り混じる「砥部焼伝統工芸士会展2019」

  

えだまめ    イマナニ体験レポート

砥部焼を代表する「国の伝統工芸士」による作品展

こんにちは。えだまめです。
砥部町の砥部焼伝統産業会館で開催中の「砥部焼伝統工芸士会展2019」に行ってきました。

こちらでは、年に2回、砥部焼伝統工芸士会による作品展が開催されています。
「伝統工芸士」とは一体どういう人たちなのでしょう?

砥部焼は、1976年に「国の伝統的工芸品」の指定を受けています。
その産地を代表する技術者として、(財)伝統的工芸品産業振興協会が実施する試験に合格した高度の技術・技法を保持する者が、伝統工芸士として認定されるそうで、砥部焼では現在15名(成形12名・加飾2名・総合1名)の伝統工芸士がいます。

砥部焼といえば、白磁に藍色で絵付け(染付)の食器、というイメージですが、今回はどのような作品が並んでいるのでしょうか。
階段を上がり、落ち着いた雰囲気の展示会場に入りました。
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会場の砥部焼伝統産業会館。年間を通じて様々なイベントを開催しています。
会場の砥部焼伝統産業会館。年間を通じて様々なイベントを開催しています。 出品者の一覧。女性の陶工もいらっしゃいます。 会場の様子。とても落ち着いた雰囲気です。 障子の桟を使った展示がされていました。和の雰囲気が出ますね。 詩人・坂村真民さんの掛け軸と花器を合わせた展示もありました。
会場の入り口以外には、特に説明書きなどはありません。
ロクロの技が堪能できる、大きな鉢や皿、壺などもありましたが、カップや小皿など、日常使いができそうな食器類の方が多く出品されていました。

砥部焼らしい染付の品はもちろん、釉薬のグラデーションが美しいお皿や、赤や金を使った鮮やかな品も並んでいました。
また、今回は新春らしく、椿やフクロウなどがあしらわれた、おめでたい感じの作品や、今年の干支のイノシシの置物もありました。
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砥部焼らしい染付の鉢。飛びカンナという技法が使われています。
砥部焼らしい染付の鉢。飛びカンナという技法が使われています。 椿を描いた変形鉢。白磁ではなく鉄分が出た素地です。 イノシシの小さな置物。玄関やリビングにちょっと置くとかわいいかも。 鮮やかな赤や緑、金などを使った「上絵付」の作品も。 青白磁のぐい呑。口は少し歪ませてあり、梅の模様が彫られています。

大物も、日常使いの品も。伝統工芸士の技は変幻自在。

白磁や青白磁、染付の品はもちろんですが、中には土っぽい風合いの角皿や、真っ黒な皿、カラフルな色を使って描かれた酒器など、「砥部焼」のイメージにとらわれない作品が並んでいます。

作者は、砥部焼を代表する伝統工芸士の方々です。
県の無形文化財の方や現代の名工、町の無形文化財の方など、そうそうたる顔ぶれです。

その方たちが、私たちが頭に思い浮かべる「砥部焼」のイメージを覆す作品を作っている、ということに驚かされます。
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砥部焼っぽくない風合いの素地に、ガラスのような模様がかわいいお皿。
砥部焼っぽくない風合いの素地に、ガラスのような模様がかわいいお皿。 女性の伝統工芸士、山田ひろみさんのぐい呑。お花が描かれています。 同心円の模様が入ったお皿。グラデーションが美しい。 濃い青の釉薬の下をよく見ると、唐草の模様が描かれています。 黒のような、茶色のような、紺のような…不思議な色の砥部焼。
表面がギザギザになっているものや、グニャっと曲がっているものなど「どうやって作っとんやろ~?」と思うものがたくさん。
これが匠の技なのでしょうか。

とはいえ、基本になっているところは「使うための器」。
食器や花器も砥部焼はくらしの中で使われてきたやきものですもんね。
国の伝統工芸士が作る器を日常使いする、というのも贅沢ですね。

さてさて、気になるお値段ですが、意外とお手頃価格です。
もちろん、ゼロの数を数えてしまうようなお品もありましたけど…(笑)

砥部焼は手づくり手描きで作られています。
そのため、同じ商品でも、若干模様などが違っていたりします。
この中から自分好みの品を見つけるということが、砥部焼選びの面白いところですね。
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「氷の惑星」というタイトルの花器。本当に氷結しているみたい!
「氷の惑星」というタイトルの花器。本当に氷結しているみたい! キューッと渦が巻いたような花器。ロクロの妙技。おもしろいですね。 見えにくいですが、イヤリングのような輪が…どうやって作るんだろう?? 花器のコーナー。伝統工芸士の個性が出ています。 日常使いができそうな食器。よく見ると細かい櫛目が入っています。価格に注目。
今回は全部で347点が出品されているそうです。
作品はすべて展示即売されているので、気に入った品は購入できます。(一部非売品を除く)

しかも、現在、砥部焼伝統産業会館では「砥部焼商品10,000円以上購入の際に表示価格より10%割引(一部除外品あり・他割引との併用不可)」のキャンペーン中だそうで、本展の商品も対象だそうです。

このキャンペーンは2019年12月28日までということですから今年いっぱいですね。
また、1月20日(日)の10時~・13時~伝統工芸士による絵付けとロクロの実演があり、入館料のみで見学できます。

なかなか熟練の陶工の技を間近で見られる機会はありませんので、こちらもおすすめです。
砥部焼伝統工芸士会展2019
開催日/2019年 1月2日(水)~1月27日(日)9:00~17:00
開催時間/9:00~17:00 定休日:月曜(祝日の場合は翌平日)
開催場所/砥部焼伝統産業会館(愛媛県伊予郡砥部町大南335)
駐車場/あり 20台
料金/入館料:一般300円、高齢者・高校大学生200円、小中学生100円
問い合わせ先/砥部焼伝統産業会館  TEL.089-962-6600
URL/http://www.town.tobe.ehime.jp/site/tobeyakidentosangyokaikan/densan.html
reported by えだまめ