さいさいきて屋の生産者さんシリーズ Vol.6 ~農業で積み重ねた時間にはノウハウ、楽しさがぎっしり~

  

星歌子まい    イマナニ体験レポート

野菜への愛情たっぷり詰め込んで売り場にお届け!

三寒四温で春の訪れを感じる3月。
柔らかな日差しの中、愛媛県今治市の平野部を車窓を開放して走ると、草木の香りが肌をくすぐり心地良いです!

本日は農業に就いて約30年、今は有志の仲間と共にJAおち今治さいさいきて屋に獲れたて野菜を出荷する、桑原弓子さんを訪ねました。

桑原さん達有志は、トマト、ナス、レタス、生姜などをメインに育てています。
「この匂いが好きなんです♪」と桑原さんが話すのは、ビニールハウスを開ける瞬間の空気。

ハウスの扉を開けて中のビニールカーテンを開くと、ホカホカとした湿った土の匂い、優しい温もりのある空気が身体中を包みます。
保育器の様な優しい雰囲気です♪

ハウスの中で育てられているのはミニトマト。
大人の膝丈にもう少しで届きそうな苗が、約150株並んでいます。

桑原さん達はトマトの栽培を一味工夫されていて、カラフルな“5色のトマト”を取り揃えているそうです。
只今トマトの苗は皆一様に黄色の可憐な花を付けた状態。

どの苗がどんな色のトマトの実を成らせるんだろう?!興味津々でお伺いすると「ミニトマトの実の色は、赤・黄色・オレンジ…そして、紫・緑です」と桑原さん。

紫や緑のミニトマトまであるんですか?!
「そうそう!どこにどの色のトマトの苗を植えたか、分からなくならないように気を付けなくちゃいけなくて!」と桑原さんは笑います。

しっかり開いた黄色の花に、受粉しやすくなるよう“着果剤”をスプレーで吹き付けていきます。
トマトの収穫は4月の末ごろから秋口まで、実の育成には日数をかけて5色全色をそろえるそうです。

「赤や黄色のトマトも可愛いけれど、緑も入って全色そろうととっても可愛いんです」と、にこやかに説明してくれました。
トマトへの愛情が桑原さんのお顔に表れています。
1-1
5色のミニトマトが生まれるハウス
5色のミニトマトが生まれるハウス ミニトマトの花。これは何色のトマトになるのかな? 「トマトトーン」と言う受粉を促す着果剤を吹き付けているところ 右はラジオでお馴染みのさいさいすーさん。トマトの管理について談義中。 ハウスには「パオパオ」と呼ばれるカーテンを掛けてある。光を通し、防風や保温に用いられる
ハウスの隣の露地では、生姜も育てています。
少し前に収穫が終わり、今は土壌を整えるとき。
10月ごろに種生姜を植えて、土中で4、5カ月ほど掛けて大きく生育させます。

今治産の生姜が買えるんですか?!生姜大好きな記者は、生姜と聞いて喰いつきました。
これまで記者が愛媛でよく見かけたのは高知産のものです。

生姜栽培のきっかけは「高知の直販所で買い物をしているときに、生姜の生産者さんと話が盛り上がって」だそう。
「お互いに買い物をしていて、たまたま話をしたらお相手が生姜農家さん。そのまま生姜の栽培について勉強させていただくことになりました(笑)」と、驚きのエピソードです!

とんとん拍子で事が運び、迎えた1年目の収穫の生姜はと言うと…「海のサンゴの様に細い生姜です、ひょろひょろでした」。
「1年目は生姜栽培の要領が掴めず、手入れが足りなかったんです。作物は手を掛ければ掛けたほど、良いものができるものです」と桑原さん。

高知で出会った生姜農家さんに相談に乗ってもらい、翌年以降は“グローブ”程のサイズにもなる、立派な生姜を出荷することができました。
約2500㎡の畑(ビニールハウスの広さで3棟分)から、量にして1㌧の収穫です!

有志の皆さんで世話をしている、別のビニールハウスの棟にも案内して頂きました。
サラダホウレンソウ、ネギ、カブ、ロメインレタスなどが順々に伸び伸びと育っています。

夏にはナスも育てていて、「木じゃないんですか?!」と記者がびっくりするような、刈り取った後のナスの幹を見せてくれました。
直径10㎝はありそうな幹です。

「これほど立派に育ってくれたので、長い時間沢山の実をつけてくれました」とのこと。
育成がうまくいったようです。

続いて、「ロメインレタスは今は葉が開き気味です。
ここからもうしばらくすると、葉が(中心に寄るように)巻いてきます。それが収穫の合図です」と試しにレタスの収穫を披露してくれました。
張りの良いレタスの葉です!
2-1
桑原さんは野菜を愛おしむ様に手入れします
桑原さんは野菜を愛おしむ様に手入れします 元気なロメインレタス 収穫には早いですが、ロメインレタスの収穫の様子を見せて頂けることに 昨年しっかりと実をつけたナスの幹。この太さ、知ってるナスの幹じゃない… 桑原さんチームの立派な生姜。約30㎝!

教訓は“3年はやってみる。それでダメなら次へと挑戦”

桑原さんは「“失敗は成功のもと”だと言うことを常に忘れません」とお話してくれました。
元々、専業農家で長年“花き”の栽培に従事していた桑原さん。

カラフルなトマトをミックスして生産販売する、色にも着目したアイディアも、色とりどりの花を扱われてきた藤原さんのセンスにあるのかもしれません。
「土いじりが基本好きですから、農業は楽しい仕事です」。

専業時代、繁忙期は多忙で睡眠時間も十分に取れないこともあったそうです。
そんな苦労も桑原さんには財産、当時に身に着けたことが大変役に立っていると言います。
見よう見まねがほとんどの専業農家時代「なんとかなる(くじけるな)」と学び、幾つもの教訓を得たそうです。

「同じことを2回失敗しない」、おおらかに、しかし繊細に。
今は日々の息抜きをするかの様に、好きな野菜についてあれこれと考え、仲間と一緒に野菜を育てる時間を楽しんでいるそう。

そんな充実した農業ライフを送る桑原さんに、“これから新規で就農を考えている方”に向けてのメッセージをお伺いしました。
―桑原さんのお答え
「とにかく、楽しみながらやってみて欲しいです!何の作物が自分の土地に合うのか、分からないことも多いと思います。やってみたら向き、不向きが分かるものです。
例えば私の場合、重量のある作物よりも、今は収穫や出荷の負担にならない野菜を選んでいます。計画的に世話と収穫のできる作物選びも大事。
私の教訓は“3年やってみて、ダメだったら次へチャレンジ”です。経験が助けてくれると思います。時間を上手く使いながら、あきらめずに挑戦して欲しいです」。

力強い言葉です。
桑原さんありがとうございます!
3-1
色とりどりな実成りが楽しみなミニトマトと桑原さん
色とりどりな実成りが楽しみなミニトマトと桑原さん 苗を大切に、丁寧に作業を進める桑原さん ネギの苗。可愛らしい サラダホウレンソウも育てています 間引いたカブ。ラディッシュサイズで美味しそう!
「“ロメインレタスチャーハン”や“レタスしゃぶしゃぶ”がお勧めですよ」と、桑原さんから収穫したてのロメインレタスをいただきました。
しゃぶしゃぶと迷いましたが…“ロメインレタスチャーハン”を作ってみることに!

いつもの手順でチャーハンを作ったら、最後に3㎝幅ほどにザク切りしたロメインレタスを投入。
具材が程よく混ざる程度に軽~く炒めて(15秒ほど)完成です!

作っている最中から予想しておりましたが、実食するとチャーハンのパラパラとした口当たりとレタスの瑞々しい繊維が相性抜群。
食感が良くて、もりもり食べられます!

新鮮でシャキシャキとした葉物ですから、火を通しても存在感あり。
具の満足度もアップです。

これは、いつものチャーハンより断然、ロメインレタスチャーハン!
桑原さんは「間引きしたカブ…小カブとは呼べない小さなカブは漬物にしています」と教えてくれました。

一晩干して、塩もみすれば出来上がりの超お手軽なお漬物です。
桑原さん、ごちそうさまでした。
4-1
ザクザク切っていきます♪
ザクザク切っていきます♪ 先にレタスの根本部分から炒め、最後に葉の部分を入れて予熱を絡める様にひと混ぜ 彩り豊かなロメインレタスチャーハン、完成!! 新鮮さが葉や茎の勢いにも出てます、美味しそう~ 一夜干し
いよいよ春到来、これから旬の野菜の品種もグンと増えてきます。
桑原さんのミックストマトも、さいさいきて屋の売り場にお目見えの日が近づいています。

「さいさいきて屋に並ぶ野菜はどれも新鮮で、質がいいです。そして珍しいものが並びやすい。今治の生産者さんは頑張ってるなぁ!と励みになります」と桑原さん。

ファッション業界では来年以降のトレンドをすでに思案中だそうですが、生産者さんの作物選びにも似ているところがあると感じます。
お客さんの好みや生産者さんの強みを掛け合わせて、流行に敏感に日々新しいものを並べる生産者さんとさいさいきて屋。

まさに、“新鮮野菜のトレンドは、さいさいきて屋に行けばバッチリ”な状態です。
ぜひ、じっくりとさいさいきて屋の売り場をチェックして、皆さんの食卓に取り入れてみてくださいね!
さいさいきて屋
開催時間/9:00~18:00 定休日 1月1日~1月3日
開催場所/さいさいきて屋(愛媛県今治市中寺279-1)
駐車場/あり230台
料金/なし
問い合わせ先/さいさいきて屋 TEL.0898-33-3131
URL/https://www.ja-ochiima.or.jp/business/saisaikiteya/saisaikiteya/
reported by 星歌子まい