偉人・坂本龍馬の魅力を発信!『知っちゅうかえ、龍馬?』Part.3

  

高知県立坂本龍馬記念館    イマナニ体験レポート

エピソード:龍馬が生涯大切にしたお守り その3

こんにちは、坂本龍馬記念館です!
記念館スタッフが、知られざる坂本龍馬の魅力をお届けする本コラム。

第3回となる今回は引き続き、坂本龍馬が生涯大事にしていたお守りから、彼の知られざる秘密をひも解いて行きましょう。
前回までの内容はこちら

これまでのコラムでご紹介した、坂本龍馬が生涯お守りのようにして大事にしていた父親からの手紙。
その書簡に書かれた3つの心得書きのうち今回解説するのは、最後の3条目「恋愛ばかりして国家の大事を忘れ、心得違いをしてはならない」というもの。

龍馬は「国家の大事を忘れ、心得違い」こそしていませんが、恋愛に関しては様々なエピソードがあった事が明らかになっています。
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高知を代表する偉人・坂本龍馬は恋多き男だった?
高知を代表する偉人・坂本龍馬は恋多き男だった? 『修行中心得大意 坂本八平筆坂本龍馬宛 嘉永6年3月』複製写真(赤線部が三条目)
まずそのうちのひとつが、剣術修業のため江戸に出て、北辰一刀流千葉定吉道場に通った時のこと。

この時龍馬は師匠の娘である、佐那という女性と恋人関係になったと考えられています。
鬼小町と噂されるほど剣術に秀でて美人だった佐那。
そんな彼女が龍馬と恋に落ちるわけなので、龍馬は余程魅力的な男だったのでしょう。

また龍馬の妻・お龍の回顧録によれば、海援隊時代の龍馬は、同じ隊の中でも美男子だと評判の新宮馬之助に対して「君は顔が良いから女が惚れる、僕は顔は悪いがやっぱり女が惚れる」なんて冗談を言っていたそう。

人たらしである自分の性格について、龍馬自身もある程度の自覚はどうやら持っていたようですね。
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龍馬が江戸で通っていた剣術道場・千葉定吉道場跡地(JR東京駅前)
龍馬が江戸で通っていた剣術道場・千葉定吉道場跡地(JR東京駅前) 海援隊隊旗展示写真(複製)

多くの女性を魅了する!?愛嬌があって憎めない…龍馬のモテエピソードとは

さらに、慶応3年(1867年)に妻・お龍と下関で暮らしていた頃はこんなエピソードも。

ある日遊郭で遊びすぎた龍馬が朝帰りをすると、怒り心頭のお龍が寝ずに彼を待っていたそう。
どうしたものかと迷っていると、ちょうどそのタイミングで下関の友人・梶山鼎介(ていすけ)が自宅を訪ねてきます。

龍馬はこれ幸いとお龍に酒の準備をさせ、その間三味線を手に取り、こんな歌を即興で歌い出しました。
「恋は思案のほかとやら 長門の瀬戸の稲荷町 猫もしゃくしも面白う 遊ぶ曲輪(くるわ)の春景色 ここに一人の猿回し(龍馬) たぬき一匹(お龍)振り捨てて 他に心はあるまいと かけて誓いし山の神(お龍) うちにいるのに心のやみ路 探り探りていでて行く」。
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オリジナルグッズに描かれた妻・お龍の似顔絵(当館ミュージアムショップにて販売中)
オリジナルグッズに描かれた妻・お龍の似顔絵(当館ミュージアムショップにて販売中) 館内にはお龍を始め、様々な龍馬に纏わる人物の展示も
この歌を現代風に解説すると、実は冒頭からかなりふざけた歌詞。
「恋は考えてもいない所からやってくる」という意味で、全体を要約すると「恋は突然訪れてきてあなたを置き去りにしましたが、決して浮気はしません」と言い訳をしながら妻に詫びている内容です。

しかしお龍はこれを聞いて「この人は本当に仕方のない人ね」と半ば呆れながら夫の事を許した様子。
その歌の内容に「破顔一笑」したという資料が残されています。

龍馬はこの歌を紙に書いてその場に居合わせた梶山に贈り、この資料は梶山家で代々大切に保管されてきたそう。
原本は歌詞を平仮名ばかりで書いており、高知県立坂本龍馬記念館にはその資料の複製が展示されています。
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龍馬がお龍に向けて歌った「梶山鼎介宛俚謡(複製)」
龍馬がお龍に向けて歌った「梶山鼎介宛俚謡(複製)」 館内には歌の複製資料も展示中
当館を訪れる方々の中で特に男性には、この歌は非常にウケる資料です。

写真を撮り「いつか使おう」という方が必ずいらっしゃいますが、あまりお薦めはできません。
お龍のように笑って許されるどころか、愛想を尽かされるのがオチかと思います(笑)

このように龍馬は非常に女性にモテる人物でしたが、もしかしたら父・八平はそれもよく知っていたのかもしれません。
わずか3ヶ条の心得書きながら、2条目と3条目は見事に息子の欠点を見抜いた文章です。

龍馬はこれを生涯大切にしていた割には、この二つをあまり守っていないような…いや、守っていたからこそ、この程度だったのでしょうか。
いずれにせよ八平は、息子をよく理解していた父親だったことがわかる資料となっています。

あるいは子は親に似るとはよく言ったもので、もしかするとこれらは父・八平にも心当たりのある訓戒だったのかもしれませんね。
高知県立坂本龍馬記念館
開催時間/9:00~17:00(最終入館は16:30)、定休日なし
開催場所/高知県立坂本龍馬記念館(高知県高知市浦戸城山830)
駐車場/あり 普通40台・障害者用2台バス4台
料金/あり 企画展期間700円 展示替期間500円 高校生以下無料
問い合わせ先/高知県立坂本龍馬記念館 TEL.088-841-0001
URL/https://ryoma-kinenkan.jp
reported by 高知県立坂本龍馬記念館