偉人・坂本龍馬の魅力を発信!『知っちゅうかえ、龍馬?』Part.6

  

高知県立坂本龍馬記念館    イマナニ体験レポート

エピソード:坂本龍馬と写真 その3

皆さんこんにちは!
高知県立坂本龍馬記念館です。

本館スタッフが高知の偉人・坂本龍馬にまつわるユニークなエピソードを紹介する本コラム。
第6回となる今回は、坂本龍馬と写真をテーマにした豆知識その3をご紹介したいと思います。

今でこそ当たり前の写真を撮るという行為ですが、龍馬が生きた当時は今ほど写真の存在は普及していません。
日本人が日本人を初めて撮影した写真は、安政4年(1857)9月17日に薩摩藩の市来四郎らが、薩摩藩主・島津斉彬を撮ったものだとされています。

これは江戸時代の終焉となる大政奉還から約10年前の出来事。
その際用いられたのは銀板写真という技術で、撮るのも難しく耐久性も悪いものでした。

ですが龍馬の写真が撮られた慶応年間(1865~1867)には、前回コラムでも触れたコロジオン湿板写真へと技術も進化しています。

そのため多くの人が写真を撮れるようになっており、ひいてはそのおかげで、私たちは当時の写真から様々な情報を得ることができるようになっています。
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当館があるのは坂本龍馬も眺めたかもしれない太平洋を臨む抜群のロケーション!
当館があるのは坂本龍馬も眺めたかもしれない太平洋を臨む抜群のロケーション! 館内には貴重な歴史的資料や、龍馬の足跡を楽しく追える遊び心のある展示も満載
当館には様々な坂本龍馬に関する資料をメインで展示する常設展示室の他、本館の地下2階に「幕末写真館」という展示室が作られています。
ここに展示されているのは、坂本龍馬の生きた時代の人々約130人の写真。

様々なカテゴリーに分類された幕末維新期の人々の顔を見ていると、ある面白いことに気が付きます。
実はよく見てみると、明治維新前に撮られた写真では髭を伸ばした人がほとんどいないのに対し、明治維新後に撮られた写真は髭を伸ばしている人がずいぶん増えているのです。

これは江戸時代における髭禁止の風潮の後、幕府の崩壊によって髭も解禁されたことが影響を及ぼしているからです。
戦国時代の武将の肖像画の多くは髭を蓄えていますが、その傾向から見るに髭は強さの象徴でもあり、人を威圧する効果もあったのでしょう。

ですが江戸幕府は原則として争い事を禁じていたため、人を威圧するような大髭も同じく禁止されていたのです。
平和な時代に髭は必要ない、ということだったのですね。
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高知県立坂本龍馬記念館の本館地下2F・幕末写真館の様子
高知県立坂本龍馬記念館の本館地下2F・幕末写真館の様子 明治時代に教育者・政治家として活躍した森有礼―たっぷりとした髭がやや威圧的です

明治時代はおしゃれ髭ブームが到来!?写真からわかる当時のファッションの流行や傾向

上記のような時代変遷を経て、明治維新によって髭の有無を選ぶことはほぼ自由となりました。
そのため明治の人々は実に様々な髭を伸ばし、それをファッションの一環として楽しみ始めています。

中でも特に立派で特徴的な髭を持っていたのは、大久保利通をはじめとした薩摩藩の人々。
個人的には、幕臣だった榎本武揚の髭が、日本人の中では最も格好良い髭のようにも思います。

江戸時代の頃にあった「髭を伸ばしたいが伸ばせない」という抑圧された感情が、明治になって爆発したのでしょうか。
総じて明治・大正期の髭は、ユニークなものがとても多いのです。

幕末以降多くの外国人との交流が生まれ、外国人の格好良い髭を目にしたことも大きな要因なのかもしれません。
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明治維新の立役者の一人・大久保利通はかなりワイルドな髭を蓄えていた様子
明治維新の立役者の一人・大久保利通はかなりワイルドな髭を蓄えていた様子 当館学芸員イチオシは榎本武揚のスタイル!上品な紳士を思わせる髭ですね
このように当時写真技術が大いに発展したおかげで、後世の私たちは当時の人々の生活や習慣に関して、多くの情報を得ることができるようになりました。

そして現在、写真技術はさらに発展を続け、現代のスマホでの手軽な撮影技術や、あるいはSNSでのアップロード・拡散をする、という文化に繋がっています。
それらの出発点は、総じてこの坂本龍馬が生きた幕末だったのですね。

余談ですが、実は現代でも、「写真と髭」にまつわるユニークなエピソードが今まさに生まれています。
ここ数年世界で猛威を振るう新型コロナによって、自宅待機の時間がずいぶん増えた、という人が多数。

対面で人と会ったり、外出する機会が減ったため、この機会に髭を伸ばしてみよう、と想い至っている人もどうやら多いんだそうです。
ファッションとして様々な形で髭を生やし、普段見慣れない自分の表情を楽しむ人々の様子が、SNSでは時折アップされているようですよ。
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幕末写真館には様々な人物を始め、龍馬と記念撮影ができるフォトスポットも
幕末写真館には様々な人物を始め、龍馬と記念撮影ができるフォトスポットも 坂本家集合写真―後列左から2人目の男性が甥の坂本直寛
前回のコラムでも書いたように、龍馬の写真は現在7種類が残存するものとして確認されています。
昭和初期までは同じく高知の偉人として有名な、中岡慎太郎と二人で撮った写真も存在していたようなので、最低でも彼は当時8種類以上の写真を撮っていたはず。

明治維新前に亡くなった人で、これほど多数の肖像写真を撮った人は珍しいとされています。
龍馬は写真好きで、かつ手紙を書くことも大好きな人でした。

もし現代に生きていたとしたら、髭を伸ばして写真をアップしたり、文章をたくさん投稿したりと、SNSをフル活用していたのかもしれませんね。
高知県立坂本龍馬記念館
開催時間/9:00~17:00(最終入館は16:30)、定休日なし
開催場所/高知県立坂本龍馬記念館(高知県高知市浦戸城山830)
駐車場/あり 普通40台・障害者用2台バス4台
料金/あり 企画展期間700円 展示替期間500円 高校生以下無料
問い合わせ先/高知県立坂本龍馬記念館 TEL.088-841-0001
URL/https://ryoma-kinenkan.jp
reported by 高知県立坂本龍馬記念館