【愛媛県歴史文化博物館 特別展 「甦る名城 香川元太郎城郭原画展」 愛媛/西予市】 まるで迷路! 松山出身の大人気「迷路作家」が描く、美麗な城郭原画展 【PR】

  

松山城や今治城のスゴさ、あなたは知ってた!? 地元の歴史を、お城の繊細な復元イラストで学ぼう!

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みなさんは、ちびっ子たちに大人気の迷路・隠し絵作家「香川元太郎さん」をご存じですか?
「時の迷路」をはじめ、「動物の迷路」や「恐竜の迷路」など、迷路絵本のシリーズが累計300万部を突破している有名なイラストレーターさんです。
書店や図書館で、精密に描かれた大きな絵本の表紙を目にされたという方も多いことでしょう。

元太郎さんは、なんと愛媛県松山市の出身!
地元・愛媛の西予市宇和町にある愛媛県歴史文化博物館(歴博)で、特別展「甦る名城 香川元太郎城郭原画展」が開催中です。

愛媛県内にありながら、国内でも評価の高い名城「松山城」や「今治城」から、全国各地の城郭の原画や、伊予河野氏・村上海賊の歴史を物語る作品も展示されていて、その地域の歴史を学ぶことができる特別展となっています。
売店では、迷路シリーズの本や城郭展のレアグッズも手に入りますよ!

迷路・隠し絵作家の香川元太郎さん

今回はなんと…!
原画を描かれたご本人、香川元太郎さんに『甦る名城 香川元太郎城郭原画展』について、お話を伺いました!

元太郎さんは松山東高校を卒業後、武蔵野美術大学に進み、その後は、歴史考証のイラスト、迷路・隠し絵の絵本などを手掛け、幅広くご活躍されています。

幼い頃から「迷路が大好きだった」という元太郎さん。
迷路を解いたり、積み木で立体的な迷路を作ったりして遊ぶのが大好きな、頭脳派の子どもでした。

中学生の頃から、迷路のような作りで侵入者を惑わせる、面白い仕掛けが隠されている「城」にどハマりし、城マニアに!
高校生の頃には1人で電車に乗り、姫路城や備中松山城などに出かけては、知見を広げていました。

ある時、史跡公園の予想図を描く仕事から、城の監修者さんと繋がり、そこから日本の城郭復元イラスト作家としての道を歩み始めます。

「城マニアだったこともあって、城郭の絵は得意分野。昔、描きたいと思っていた題材を描くことができて、嬉しいし、楽しいです」と笑う、元太郎さん。

そんな城マニアの元太郎さんがイチオシする、愛媛県松山市のシンボルマークであり、この特別展の最大の見どころでもある『松山城』についてお話します!

…が!
その前に、「城郭」についての豆知識をお届けしますね。

お城? 天守閣? 二之丸?? それらが何か、ご存じですか?

そもそも「お城」とは?
どんな場所で、何をするところでしょうか?

多くの方が、「お城」と聞いて真っ先に連想してしまうのは、「天守閣」と呼ばれる一番高くて豪華な建物だと思います。
こちらのイラストは江戸幕府3代将軍徳川家光時代の江戸城の天守閣。
このような建物をイメージする方が多いのではないでしょうか。

しかしながら、天守閣はお城の一部。
天守閣を中心に、ぐるりと造られたお堀などを含めた全てが「お城」であり「城郭」と呼ばれます。

基本的に、江戸時代のお殿様は天守閣には住んでおらず、お堀の内側にある二之丸や三之丸と呼ばれる区画に住んでいて、いつもは空き家だったそうですよ。

愛媛県民も知らない!? 松山城のスゴさとヒミツ!

地元民にも、あまり知られていないようですが…
松山城は、日本の城ランキングで5位以内に入る可能性の高い、超人気のお城です。

理由その①は、20年以上かけて造られた豪華な造りとその頑丈さ。
普通のお城は4~5年もあれば建つというのに、松山城は20年以上の手間をかけて完成しています。

理由その②は、230mもある登り石垣。
残念ながら北側の登り石垣は一部分しか残っていませんが、県庁裏登山道沿いにある南側は、崩れずにほぼ完全な姿で残っています。

松山城を築城した加藤嘉明は、豊臣秀吉の命令で朝鮮に出兵していました。
朝鮮では軍事拠点に日本式の城である倭城(わじょう)がつくられていますが、倭城の多くには、防御性を高めるために、山頂から山麓を囲い込むように登り石垣が築かれています。
嘉明はその時の技術を取り入れ、日本最長レベルともいわれる登り石垣を、松山城にも築いたのですね。

理由その③は、防御力の高さ。
ちょっとした登山で疲労させた敵を待ち受けているのは、初見殺しの罠の数々!

見えない位置にある隠し扉から背後へまわり攻撃できたり…
敵をわざと中庭に誘導して四方八方から集中攻撃できたり…

他にもたくさんの仕掛けが隠されています。
また、今はお茶屋になっているあの平地は、山の上だということを忘れる程の広さ!
大軍が駐屯できたと思われ、戦闘能力の高さも伺えますね。

理由その④は、天守閣の美しさ。
松山城の天守閣は、江戸時代以前に建設されて現存する12天守の一つです。
三角形の千鳥破風(ちどりはふ)、弓なり状の形をした唐破風(からはふ)といった飾り屋根を付けた姿は、どこから見ても優美です。

理由その⑤は、眺望の良さ。
勝山頂上から360度パノラマで観る「松山平野」や「瀬戸内海」の美しさは、なかなかのもの。
松山城の機能性の素晴らしさを知らずに訪れた観光客にも「来て良かった!」と思わせる、県内屈指のビュースポットの一つでもあります。

…などなど、松山城のアピールポイントを挙げ始めると、キリがありません。
天守閣や石垣の美しさ、天守閣や本丸からの眺望の良さで霞んでしまいがちですが、機能性にも優れた、実戦向けのお城なのです!

昔の松山城の天守閣は、池を囲んでいた!? 考証によって明かになる、当時の姿

城郭原画展には、二つの松山城の復元イラストが展示されています。

松山城は、関ヶ原の合戦後、加藤嘉明が工事を始め、蒲生忠知(がもうただとも)がそれを引き継ぎ、一通り完成したといわれています。
その後、寛永12(1635)年に徳川家康の甥に当たる松平定行が松山に入り、親藩大名の城になります。
この定行の時に、天守が5階建てから3階建てになったという伝承を記した江戸時代終わり頃の文献資料もありますが、加藤・蒲生がいた江戸時代初期の松山城の姿は謎とされてきました。

元太郎さんは、その謎の解明に取り組み、2度にわたり江戸時代初期の松山城の復元イラストを描いています。
2002年に描かれた松山城と、「21年前に描いた絵を、2020年に改めて描き下ろした」という松山城です。

こちらの松山城は、2002年に描かれたもの。山頂にある本丸の左側部分に連立天守閣がありますが、その石垣の形は直角を基調にした方形。
つまり、現在の天守閣が建つ位置に、古くは五階建ての天守閣があったという想定で復元イラストが描かれています。

今回の城郭原画展では、2020年制作の最新版の松山城の原画復元イラストが大きく引き伸ばされているので、ぜひじっくりと見比べていただきたいのですが…

先ほどの松山城と、新たに描かれた二つの松山城、よく見ると…??
2002年のイラストで天守閣があった部分を中心に、様子がやや違っています。

五階建ての天守閣があった部分には、傾斜が緩く、とても高い石垣が築かれていて、その形も直角ではなく、とても複雑な形になっています。
その石垣の上には、五階建ての天守の姿はなくなり、周囲を二階建ての櫓(やぐら)などが取り巻く形に変わっています。
これは一体、どうして!?

2020年のイラストは、近年になって江戸時代初期の松山城を描いた絵図が見つかり、その絵図を読み解くとこのような姿になったそう。

「時が経つことで新しい資料が見つかったり、調査結果によって新たな可能性が浮かび上がったりと、正しいと思われていた歴史が変わってしまうのはよくあること。…描く方としては、大変ですが!」と笑う、元太郎さん。

今回の特別展では、考証のもとになった絵図も展示されているので、この姿がどのような考証を経て導き出されたのか、その過程を詳しく知ることができます。

ところで、今では恋人の聖地となっている「二の丸庭園」が、描き直された最新版では造りかけになっていることにお気付きでしょうか?

「幕府隠密が調査に来た段階では、まだ二の丸御殿は完成していませんでした。
その当時の情報でこの絵を描いているので、この時点では建設中という訳なんです」と元太郎さん。

うーん、細かい!
でも、こうしたところからも、幕府の隠密が描いた絵図など歴史資料をもとにしっかりと考証を積み重ねながら、イラストが描かれていることがよくわかります。

愛媛県民も知らない!? 今治城のスゴさとヒミツ!

またしても、地元民にもあまり知られていないようですが…
今治城は、近世の城のスタンダードとなった「モデルケース」なのです!

今治城は、かの有名な藤堂高虎が作った城。
高虎が築城したのは、「こんなところに、まともな城は建たないだろう…」と言われるような、瀬戸内海に面した、ただの砂地でした。
そんな好条件とはいえない場所に、高虎はとても防御力の高い今治城を築いたのです!

今回の城郭原画展では、今治城の復元イラストも大きく引き伸ばして見ることができます。

瀬戸内海から見た者に「凄い城だ!これは落しにくい…」と戦意喪失させる、高い石垣と広い堀!
城の入り口には、枡形虎口(ますがたこぐち)という「敵を集めて一斉攻撃」する仕組みを各所に設けています。
四角い空間の枡形に敵を誘い込んで三つの方向から集中攻撃!

また、櫓(やぐら)などで守られた城郭内部に、軍船を格納する舟入(港)があります。
万全な守りに加え、水軍による攻撃力!
その時代の最先端をゆく造りの今治城は、城マニアの方々から絶大な支持を得ています。

愛媛県民こそ、今一度、今治城を「凄い城なんだ!」と感心しながら見学して欲しいところですね。

平和だからこそ!? ショートカットできちゃう高知城の階段

元太郎さんにお伺いした、描いていて面白かったお気に入りのお城の一つは「高知城」!

城郭は、敵をかく乱し、侵入しづらくするために、迷路のような造りをしています。
しかし天守へ行きづらいのは、実は味方も同じこと。
天守までグルグルと歩き回らなくてはならず、かなりの手間だったそうです。

「ココにちゃっかり、二之丸御殿に最短で上り天守閣に至るショートカットコースが出来ています」
「平和で、攻められる心配がなかったのでしょうね」と元太郎さん。

いざとなれば即座に取り除けるよう、仮設階段は板葺きで作られていました。
歴史のおもしろポイントなので、ぜひ原画でじっくりと見てみてくださいね。

地元民だからこそ、知っておきたい! 伊予河野氏や村上海賊の歴史を歴史復元イラストで学ぼう!

今回の特別展では同時に、伊予河野氏や村上海賊の歴史を物語る「歴史復元イラスト」も展示しています。

第二展示場で見られる、この歴史復元イラスト。
城郭原画や迷路絵本のタッチとは違った描き方なので、ちょっと驚かれるかもしれませんね。

もしかしたら「どこかで見た感じがする…?」と思われる方もいらっしゃるかも??
元太郎さんは歴史系の教科書の挿絵も手がけられているので、実は目にしたことがあるという方も多いことでしょう!

地元の愛媛県民でも、有名な「村上水軍」がどのような組織で、何をしていたのか?など、詳しく知らない…という方も多いのでは?

ここでは、歴史復元イラストに沿って物語が展開していきます。
「文字だけでは、全く頭に入らなかった!」という方もイメージが湧きやすいと思いますよ。

「元太郎さんの描く歴史復元イラストは、地形などの正確さはもちろん、想像により描かれたものでもしっかりとした根拠を持って描かれています。勉強になりますよ」と、学芸員の井上さん。

また、時が経つごとに、船や建造物、人々の服など、どんどん機能性や見た目の美しさが洗練されていく様も、ぜひ見ていただきたいポイント!
元太郎さんの美しい描写で、瀬戸内海の歴史を楽しんでくださいね。

香川元太郎さんの描く、まるで箱庭のような城郭原画

筆者がぜひ注目して欲しいイチオシポイントは、「城郭原画」の至るところで生活している人々の描写!

迷路の絵本でも、その世界観で活き活きと活動している人々が細かく描かれていますが、城郭原画の方では、更に小さな人々が暮らしています。
岩礁ピットの上を歩く人と、その影。…なんという細かさ!

元太郎さんの描く城郭原画が、「復元イラスト」カテゴリーの中でも、どことなくあたたかさを感じるのは、そういった芸の細かさにもあるのではないか?と筆者は考えています。

また、絵そのものが美しいのです。
波のグラデーションや波しぶきが、とってもリアル!

「瀬戸内海の特長の一つ、潮の流れの速さが出るようにこだわって描きました。
海や空などのパーツは、絵としても楽しんで描いています」と元太郎さん。

ぜひ、この城郭原画展では、「絵画」としての素晴らしさや美しさにも注目しながら、生で閲覧してもらいたいですね!

地元や日本の歴史についての知識が深まる、城郭原画展

城郭というと、高い石垣、広い堀、高くそびえる天守閣をイメージする人も多いかもしれませんが、それは江戸時代の城郭。
戦国時代には、たくさんの土でつくられた城郭が全国各地にありました。
無数につくられた城郭ですが、そこにはそれぞれの時代を生きた人々の知恵が集積されています。

元太郎さんは、歴史雑誌や全国の自治体などの依頼により、いろいろな時代のさまざまなタイプの城の姿を描かれました。
展覧会では、そうした全国の城郭の復元イラスト原画が、北は蝦夷(北海道)から、南は琉球(沖縄)に至るまで、88点展示されています。

これらの復元イラストからは、今ではもう見ることができない、その地域の歴史の1ページを垣間見ることができますよ。

今では、住宅地や森になっている場所に、実は遥か昔、お城が築かれていたこともあったなんて…!
ぜひ、復元イラストとスマートフォンで現地の航空図とを見比べてみてください。
「えっ!?そうなの!?」という声が出てしまうかもしれませんよ!

ちなみに上の復元イラストは、今では公園となっている道後の湯築城です。
そんなに高くない山なので、展望台に上る際は、湯築城を攻略するつもりで登ってみてください。

「専門の方々と何度も考証を重ね、『地形の正確さ』には、特にこだわって描いています」
「松山城や今治城に関しては、考証の材料となった資料にどんなものがあるのかを詳しく展示しているので、私がどうしてこのように描いたのか?読み取って欲しいです」と元太郎さん。

筆者は、原画そのものが、思った以上に小さいことに、大いに驚きました。
細部はルーペを使って描かれているそうです。
とても繊細で大量の情報が、あの小さな紙の上に収まっているなんて、感動モノですよ!

ぜひ、その目で実際にご覧になり、昔の人々の暮らしを想像してみてください。
地元だけでなく、日本の理解がより深まることでしょう!

■ 特別展「甦る名城 香川元太郎城郭原画展
開催期間/2023年9月23日(土・祝)~11月26日(日)
開催中の休館日…10月30日(月)・11月7日(火)・11月13日(月)・11月20日(月)
開催時間/9:00~17:30(入場は17:00まで)
開催場所/愛媛県歴史文化博物館 企画展示室・文書展示室
住所/〒797-8511 愛媛県西予市宇和町卯之町4-11-2
料金/特別展のみ大人600円、65歳以上の方300円、小中学生300円
お問い合わせ/0894-62-6222
愛媛県歴史文化博物館 公式HPはこちら
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reported by イマナニ編集部 Natuorhytym
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