日本の古き良き伝統芸能「吟詠剣詩舞」公演を愛媛・県民総合文化祭で見に行く!

  

漢詩・和歌を詠う吟詠と詩に合わせ舞う詩舞…凛とした和の魅力を感じよう

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こんにちは!曽我美なつめです。
現在愛媛県内各所で開催されている「県民総合文化祭」。

音楽や芸術など様々な文化活動を楽しむ人々の活躍の場となるイベントで、まさに”文化の秋”を楽しむにはぴったりの催しが満載となっています。
その中から今回「吟詠剣詩舞」の公演を見に行ってきたので、その模様をレポートしたいと思います!

吟詠剣詩舞とは、漢詩や和歌を詠う「吟詠」と、その歌に併せて舞を舞う「剣詩舞」を総称した日本の伝統的な舞台芸能です。
やや敷居の高い印象を受ける人も多いかもしれませんが…実際に見に行ってみると、何より穏やかで凛とした日本の”和”の心を感じるステージでした!

愛媛県内にも、日頃から吟詠剣詩舞に親しむ流派はなんと30以上。
また松山北高校には部活として設立もされており、いろんな年齢層の方が伝統芸能を楽しんでいることがわかります。

初めて触れる「吟詠剣詩舞」の世界…どんな伝統芸能なのでしょうか?

ステージでは入れ替わり立ち替わりいろんな流派の方々が演目を披露します。

ひとつの演目が想像以上に短く、初めてでも飽きずに見ていられるのは意外なポイント。

パンフレットにこの日の演目や出演者の方のお名前が書いているのも親切!

演者さんの数は数百人規模。
出番の前後は客席で他の演者さんの演目を見る方も多い様子。

この日の公演は大きく二部構成に分かれての上演。

第一部は各流派に所属する方々や、全国のコンクールなどで優秀な成績を納めた方々が、様々な吟詠と剣詩舞を披露していくステージです。
パンフレットにも詩の演目が掲載されているのですが、李白や杜甫といった数千年の歴史を持つ漢詩から、漢詩を作るのが好きな事で知られている吉田松陰の作品、そして「松山城」など愛媛松山にまつわる詩まで。
作品の種類もいろいろあるというのは、今回初めて知った発見でした。

ステージ前半は各流派の十数名以上の方々が、一緒に詩を吟じる「合吟」の演目がメイン。
みなさん詩に描かれた情景や心情を、朗々とした声で節をつけて歌っています。

途中には小学生~中学生の青少年による吟詠剣詩舞の演目も。
皆さんお馴染みの童謡「ふるさと」と共に、広いホールにも響き渡る伸びやかな声で詩を吟じていました。

「合吟」では県内各地の流派の方々が、声を揃えて皆で詩を吟じます。

松山市のみならず、八幡浜や今治、新居浜から今日の公演に参加する流派もいます。

メンバー構成も流派によって様々。
男性が多い流派や40代前後の若い方がいる所も。

古き良き情景や人間の心情を詩で吟じる際は、それを邪魔しない服装をチョイスするそう。

愛媛の詩吟剣詩舞界を背負う、若い青少年の出演者も頑張っていました。

詩の情景・心情を歌と舞で表現…老若男女幅広い世代の方が舞台に登場

一部の後半は様々なコンクール・全国大会で賞を獲得した方々や、「少壮吟士」と呼ばれる優秀な若手吟詠家のステージが行われます。
そしてここからの演目は、1~5名の吟詠家さんと扇や刀を使って舞を披露する舞踊家さんが、一緒になって吟詠剣詩舞を披露する演目が続いていきます。

全国でも様々な賞を受賞している方々の詩吟は、何も知らない私でも一聴しただけでレベルの違いがわかるほど。
たった一人でステージに立ち、ハリのある表現力豊かな歌声で観客へと詩を届けます。

その詩に乗せて詩舞を披露する、舞踊家さんの動きも見ていて思わずほれぼれしてしまうほど。
緩急のついた動きで詩を表現し、まるでその描写が浮かんでくるような踊りを見せてくれました。

これは写真ではなかなか伝わらない良さ。
ぜひ映像などで皆さんにも見ていただきたいです…!

凛とした佇まいが美しい…!扇や刀を使って優雅に詩舞を披露します。

凛々しい表情と指先まで美しい所作で詩に描かれた世界観を表現…。

優雅な詩舞の後ろを朗々とした歌で支える吟詠家さん。
舞との息もぴったり。

中には同じ演目が披露されることもありますが、人によってやはり雰囲気はまったく違います。

詩と舞ひとりずつではなく、場合によっては複数の演者さんが登場する事も。

第一部を経て少しの休憩を挟んだのち、第二部では構成吟詠剣詩舞のステージが行われます。
”日本の四季「春を尋ねて」”というテーマの元に、様々な流派の方が入れ替わり立ち替わり吟詠剣詩舞を披露していくステージとなっていました。

詩吟と剣詩舞ふたつあわせての披露が多かったことに加え、第一部にはなかった大型スクリーンを用いての映像や照明など、様々な演出もあわせて詩の世界が表現されていました。
少人数でのステージも凛とした緊張感があり見応えがありましたが、こちらは十人前後の人数で構成された演目も多く見応え抜群。
重厚感や華やかさを感じる、見ていて楽しいステージも多かったですね。

演目の短さもあり、人の出入りもちらほら。想像よりずっと気軽な雰囲気で見られます。

第二部は一部に比べ、物語性や演出も多く見た目も楽しい演目が多数!

会場では琴と尺八の生演奏も聴けます。
和の音色に思わず背筋が伸びますね。

日本の美しい四季の移ろいや、様々な文化人の生き様にまつわる演目も。

大勢の出演者が総出で集まったフィナーレでこの日の公演は無事幕を下ろしました。

公演の最後は今日登場した流派の皆さんが登場し、華々しい音楽や演出と共にステージも大団円。
客席には今回の公演で一度舞台に上った出演者さんの姿も多く、皆さん楽しそうな笑顔でその様子を見守っていたのも印象的でした。
(演目の前後に出演者さんの出入りも多少あるため、ステージでの演目は進行しつつも会場全体が終始和やかで穏やかな雰囲気だったのも印象的でした。伝統芸能の公演会って、もっと緊迫感のある場所のイメージがあったので…。)

今回の公演で初めて触れた吟詠剣詩舞の世界でしたが、想像以上に身近さを感じる芸能だったというのが一番の大きな感想です。
古き良き日本の心を感じる文化やカルチャー、コンテンツが好き!という方は、一度その世界を覗いてみると新たな面白い出会いになるかもしれません。

今回の県民総合文化祭の公演のみならず、各流派の皆さんによる公演も不定期に行われている様子。
興味がある方はぜひネットで調べたり、様々な形で吟詠剣詩舞の文化に一度触れてみてくださいね!

■ 吟詠剣詩舞公演 【令和5年度 県民総合文化祭】
開催時間/2023年11月5日13:00~16:00
開催場所/愛媛県県民文化会館 メインホール
開催住所/愛媛県松山市道後町2-5-1
駐車場/あり
料金/なし
お問い合わせ/愛媛県文化振興課(089-947-5581)

reported by 曽我美なつめ
イマナニ体験レポート