野生のヒキガエルに遭遇できるかも? 面河山岳博物館の野外調査に密着! 【愛媛/久万高原町】

  

面河渓にくらすヒキガエルの、ありのままの姿をもとめて

0-0

あども、怒涛のカエルブーム到来! マリリンです。
久万高原町で2024年6月23日まで開催中の企画展「やまのぬし ヒキガエル」は、もうご覧いただけましたか?

今回は、同館学芸員の安田さんによる、面河渓(おもごけい)での「野外調査」に同行させていただくことに!
現地の「ニホンヒキガエル」の様子だけでなく、取り巻く自然環境の定点調査も兼ねて、定期的に行われている調査だそうです。

取材日が決まってからというもの、楽しみにし過ぎて遠足熱が出ないかとても心配でしたが、なんとか無事に当日を迎えることができました。
果たして、面河渓にすむ「ニホンヒキガエル」に出会えるのでしょうか?!

面河山岳博物館から車で5分ほどのところにある面河渓の、五色橋付近からスタート!

カエルの目線・気持ちになって、いそうなポイントを注視しながら歩きます。

おおっ! いきなりヒキガエルっ?! と思ったら、ヒキガエルによく似た質感のキノコ。
安田さんによると、アミガサタケの一種だそうです。

こちらはサルノコシカケの仲間。 傘の下を覗き込む安田さん。
サルノコシカケをエサにする甲虫がいることがあるそうです。

ヒキガエルは夜間に活発に動く生き物ですが、安田さんがいつもの調査ルートを歩いていると、昼間でも道の脇にボテっと座っていることもあるんだとか。

また、雨の日や雨上がりに活動することが多いため、雨天時の面河渓、熟練の安田さんアイなら、発見率は50パーセントくらいだそうですが、この日は雨上がりのひんやりした晴天。

ヒキガエルにとっては、少し気温が低めかも知れないとのこと。
ベストな条件ではないそうですが、ヒキガエルが隠れていそうなポイントを安田さんに教わりながら探します。

古い倒木が折り重なったポイントにも、ヒキガエルが好きそうな隙間がいっぱい。

おおっ! 巨大なアリが! 安田さんの指と比較して…この大きさ、伝わるでしょうか。
ムネアカオオアリという日本最大のアリだそうですが、こちらは働きアリなので女王アリはもっと大きいんだとか。

まるでヒキガエル マンションのような、木のウロですね。

ヒキガエルは見つけられませんでしたが、ウロの側には巨大なアリジゴクが!
巣穴の中には…さっきの巨大アリを待ち受ける捕食者が潜んでいるんでしょうか。

さらに奥地へ! ヒキガエルは見つけられるかな?!

博物館の飼育ケースの中でも、「あれ?どこにいるのかな?」と目を凝らさないと見つけられないことがあるくらい、ヒキガエルはかくれんぼの天才です。

あまり動き回らず、じっと佇んでいることも多いので、慣れていないとなかなか見つけられないレベル。
「味覚以外はフルに使って探します!」と安田さん。

今回同行させていただいた調査ルートでは、ヒキガエルだけでなく、アオダイショウやシマヘビ、ヒキガエルをエサにするヤマカガシを目にすることもあるんだとか。
いったいどんな調査になるのでしょうか。 ドキドキです。

自然のスケールに圧倒されながら、さらに遊歩道の奥へと進みます。

橋と東屋が見えてきました。 熊淵橋です。

なんて深いエメラルドグリーン! 熊淵橋から見える「熊淵」という絶景ポイントです。
石鎚山系に源流を持つこの清流は、高知県側へ流れ込むと、あの「仁淀ブルー」で知られる仁淀川になります。

「水飲獅子(みずのみのしし)」と呼ばれる奇岩です。
ゴクゴクと水を飲んでいる獅子の姿に見えますね。 なんだか、クリームソーダが飲みたくなりました。

美しい鑑賞ポイントが多すぎて、ちょっとヒキガエルのことを忘れそうになっていました(笑)。
こうした日々の現地調査の積み重ねから、新発見が生まれることもあるそうです。

テントウムシによく似た、全国的にも珍しい昆虫「トホシニセマルトビハムシ」は、四国での記録はなかったそうですが、2010年と2012年に面河渓で採取された標本2個体が、面河山岳博物館に収蔵されていたことが判明。

2023年6月に、面河渓で生きた個体が見つかったことから、「四国初記録」として学会誌に掲載されたんだとか。
その体長は、なんと3ミリほど! 驚きの観察眼ですね。

「あっ!」東屋の屋根の下に、何かを発見した安田さん。

ガガンボでした。
気になった生き物は観察できるよう、チャック袋などを常に持ち歩いているようです。

ヒキガエルが卵を産みそうな水場だけど…安田さんが、別の生き物を発見したようです。

わ! アカハライモリ! 面河山岳博物館にも展示されていましたね。
水の中からヒョイヒョイと、オス・メスをペアで拾い上げてくださいました。
え…同じに見えるな…。

裏返して見せてくださいました。
ホントだ! 膨らんでます! ほかにも尻尾の形などに違いがあるそうです。
水の中にいる状態で、この違いを見分けるなんて…すごい。
アカハライモリには「毒」があるそうですので、もしも触ったら、しっかり手を洗いましょう。

残念ながらこの日の野外調査ではヒキガエルに出会えませんでしたが、こんな風に、のっしのっし歩いている個体に出会えることもあるそうです。

1時間ほど同行させていただいただけで、新たな発見だらけの野外調査!
美しい自然の中で、ひたむきに生きる生き物たちの姿に感動しました。

面河山岳博物館で2024年6月23日まで開催中の企画展「やまのぬし ヒキガエル」なら、自然界ではなかなか出会えない、日本原産のヒキガエル全種をつぶさに観察できます。
ぜひお出かけくださいね!

■ 面河山岳博物館
駐車場/あり 10台
住所/愛媛県上浮穴郡久万高原町若山650-1
料金/一般300円、小中学生150円
※20名以上の団体は50円割引
※65歳以上の高齢者は半額(年齢を証明できるものをご提示ください)
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の所持者及びその介護者1名は半額
お問い合わせ/面河山岳博物館 0892-58-2130
面河山岳博物館 公式HPはこちら
イマナニで「面河山岳博物館」の情報を見る

reported by マリリン
イマナニ体験レポート