【町立久万美術館】親子でアートを楽しもう!「くまびキッズプログラム」でこどもの自由な感性を育む(愛媛/久万高原町・にこひめプロジェクト)

  

「小さなこどもを連れて美術館に行っても大丈夫?」
「絵画や美術品に詳しくなくても楽しめるかな?」
そんな方に知ってほしいのが、久万高原町にある「町立久万美術館」です。

町立久万美術館では、絵画や彫刻などさまざまな作品を楽しめるほか、未就学児とその保護者を対象にした「くまびキッズプログラム」も開催されています。

館内では、企画展ごとに異なる作品に出会えるほか、学芸員のお話を聞きながら鑑賞すると、作品の見え方や楽しみ方がぐっと広がります。

今回は実際に開催中の展覧会「コレクションは繁茂する」を巡りながら、美術館が誕生したきっかけや展示作品にまつわるエピソード、親子で楽しめる「くまびキッズプログラム」についてお話を伺いました。

「美術館って少し難しそう」「こどもにはまだ早いかな」と思っている方にも知ってほしい、町立久万美術館の魅力をご紹介します♪

森に囲まれた町立久万美術館でアートを楽しもう

町立久万美術館を訪れてまず感じたのは、周囲の自然と調和した落ち着いた雰囲気です。
久万高原町の豊かな自然に囲まれており、美術館へ向かう時間から、街なかとは少し違った空気を感じられます。

館内には絵画や彫刻など、さまざまな作品が展示されています。
取材中にはセミの鳴き声が聞こえ、「外で鳴いているのかな?」と思っていると、実はその音も展示作品の一部でした。

▲八木良太《Cicada》2008年

自然の中にいるような感覚とアートが重なり、「こんな表現もあるんだ」と驚かされました。
そんな町立久万美術館は、1989年に開館した美術館です。

開館のきっかけとなったのは、旧久万町出身の実業家・井部栄治さんが、自身で収集してきた319点の美術作品を町へ寄贈したことでした。
寄贈された作品は「井部コレクション」と呼ばれています。

学芸員の品川さんによると、井部さんは作家の知名度や当時の評価にとらわれず、自分の目で見て「いい」と感じた作品を集めていたそうです。

開館当初は319点から始まったコレクションですが、その後も購入や寄贈などによって増え、現在では約1,200点を所蔵しています。
企画展やコレクション展によって展示内容が変わり、訪れるたびに違った作品と出会えるのも魅力です。

作品だけでなく「美術館にやってきた物語」にも注目!

館内を案内していただくなかで特に印象に残ったのが、作品そのものだけではなく、町立久万美術館に収蔵されるまでのエピソードです。

なかでも、岸田劉生の作品について伺ったお話が心に残りました。
井部さんは、岸田劉生の油絵を自身のコレクションに加えたいと考えていましたが、生前には手に入れられなかったそうです。

その後、美術館が開館10周年を迎えるにあたり、新たな目玉となる作品を購入しようとした際に、岸田劉生《岸田辰弥之像》と出会いました。
しかし、購入に向けて数年かけて準備を進める予定だったため、思いがけず早く作品と出会ったことで資金が不足していたそうです。
そこで、町民や団体などから寄付が集まり、購入につながりました。

一枚の作品の背景に、多くの人たちの思いが込められていると知ると、見る印象も少し変わってきます。
ほかにも、友人との思い出から長く大切にされ、後に美術館へ寄贈された作品や、約100年前の若者たちが制作した同人誌などもあります。

「きれい」「面白い」と作品を見るだけではなく、「どうしてこの作品がここにあるんだろう?」と背景を知りながら巡るのも、美術館の楽しみ方の一つだと感じました。

企画展「コレクションは繁茂する」で作品の魅力を楽しもう!

町立久万美術館では、2026年9月12日(土)〜12月6日(日)まで、企画展「コレクションは繁茂する」が開催されています。

町立久万美術館は319点の井部コレクションから始まり、その後さまざまな人とのつながりによって作品を増やしてきました。

「繁茂する」とは、草木が生い茂ること。
今回の展覧会では、美術館のコレクションが人との縁や作品同士のつながりによって広がってきた歩みを紹介しています。

館内の展示は4つの章に分かれており、作品を通して愛媛の美術が時代とともに変化してきた様子にも触れられます。
今回、私も学芸員から作品の背景や収蔵された経緯を聞きながら館内を巡りました。

美術館というと、「美術に詳しくなくても楽しめるかな?」「作品を見てもよく分からないかも」と感じる方もいるかもしれません。
でも、作者や作品が生まれた背景を聞いてから見ると、「そんな意味があったんだ」「だからこの作品がここにあるんだ」と、作品への興味がどんどん深まっていきました。

美術に詳しくなくても、少し背景を知るだけで作品の見え方が変わるのも面白いですね。
企画展の開催期間中には、学芸員による「学芸員トーク」も開催されています。

今後は、10月24日(土)11:00〜11:30、11月3日(火・祝)と12月6日(日)は14:30〜15:00に開催予定です。
学芸員トークへの参加は無料で、事前申し込みも必要ありません。
ただし、参加には企画展の観覧券が必要です。
なお、11月3日(火・祝)は「文化の日無料開放デー」を開催。
どなたも無料でご覧いただけます。

作品についてもっと知りたい方は、学芸員のお話を聞きながら鑑賞してみるのもおすすめです♪

親子でアートを楽しめる「くまびキッズプログラム」

 

親子で町立久万美術館を楽しみたい方におすすめなのが、「くまびキッズプログラム」です。
未就学児とその保護者を対象に、学芸員と一緒に作品を鑑賞します。
このプログラムは、小さい頃から美術館に親しみ、親子で気軽に作品を楽しんでもらいたいという思いから企画されました。

美術館には「静かにしなければいけない」というイメージがあり、小さなこどもを連れて行くことに不安を感じる方もいるでしょう。
そんな不安を少しでも和らげ、こどもと一緒に美術館を楽しむきっかけにしてほしいという思いが込められています。

プログラムでは、学芸員が作品について一方的に説明するわけではありません。
「何に見える?」
「どんな色がある?」
といった問いかけをきっかけに、こどもたちが作品を見て感じたことを自由に話していきます。

過去の開催では、川を描いた作品を見て「海みたい」と話したこどもがいたそうです。
そこから「この場所へ行ったことがある」「泳いだことがある」と、自分の体験へ話が広がりました。
また、大人とは違う視点で色やかたちに注目することもあり、先入観のないこどもならではの見方に驚かされることもあるそうです。

同じ作品を見ても、感じ方は人それぞれ。
親子で感想を話したり、ほかの参加者の意見を聞いたりすることで、新しい発見が生まれそうですね♪

「1時間も集中できるかな?」と心配する方もいるかもしれませんが、実際にはじっくり作品を見るこどもも多いそうです。
難しく考えず、親子で気軽に参加してみてくださいね♪

「くまびキッズプログラム~かぞくでアートじかん~」は、2026年11月7日(土)10:00〜11:00に開催されます。

・対象/3歳〜6歳までの未就学児とその保護者
・定員/5組程度
・参加費/無料
・申込/事前申し込みが必要

まだ定員に達していないとのことなので、気になる方は早めに申し込んでみてください。
こどもならではの自由な発想に触れながら、親子でアートを楽しんでみてはいかがでしょうか♪

親子で新しい発見を楽しめる町立久万美術館へ!

今回、町立久万美術館を訪れて感じたのは、美術作品にはいろいろな楽しみ方があるということです。
作品が美術館にやってきた背景を知ったり、学芸員のお話を聞いて理解を深めたり、思いがけない表現に出会ったりと、館内を巡るなかでさまざまな発見がありました。

美術に詳しくなくても、「これは何だろう?」「どうしてこの作品がここにあるんだろう?」と興味を持つだけで、楽しみ方は広がります。

「くまびキッズプログラム」では、こどもたちが先入観なく作品を見て、自分が感じたことを自由に伝えられます。
大人では思いつかないようなこどもの発想に驚かされるかもしれません♪

「美術館って少し難しそう」「こどもにはまだ早いかな」と思っている方も、町立久万美術館でアートを楽しんでみてはいかがでしょうか♪

町立久万美術館の基本情報

施設名/町立久万美術館
住所/愛媛県上浮穴郡久万高原町菅生2番耕地1442-7
開館時間/9:30〜17:00(最終入館16:30)
休館日/毎週月曜日、祝日の翌日
※祝日や日曜日と重なる場合は開館し、展示替えなどにより臨時休館する場合があります。
電話番号/0892-21-2881
駐車場/45台・無料

【企画展「コレクションは繁茂する」】
会期/2026年9月12日(土)〜12月6日(日)
休館日/月曜日
※9月21日(月・祝)、10月12日(月・祝)、11月23日(月・祝)は開館
※9月24日(木)、10月13日(火)、11月4日(水)、11月24日(火)は休館
観覧料/一般1,000円|高校・大学生400円|小学生・中学生300円
前売券/一般600円
※20名以上の団体、65歳以上の方は一般700円|高校・大学生300円|小学生・中学生200円
※障害者手帳(身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳)をお持ちの方と、その付添者1名は無料

【くまびキッズプログラム~かぞくでアートじかん~】
開催日/2026年11月7日(土)
時間/10:00〜11:00
対象/3歳〜6歳までの未就学児とその保護者
定員/5組程度
参加費/無料
申込/事前申し込みが必要

reported by しんすけ
イマナニ体験レポート