祝卒業!いしづち編集学校、第3期生の最終プレゼンテーション

  

いしづちエリアをはじめとした、地元を盛り上げるプランの発表会

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8月開校した「いしづち編集学校」第3期。
半年間で学んだことを活かし、受講生たちはどのような『自分なりの答え』を見つけられたのでしょうか?

2022年1月14日(金)、西条市地域創生センターで行われた第3期生の終業式・最終プレゼンテーションの様子を取材しました。

「いしづち編集学校」とは 、いしづちエリア(西条市・久万高原町・高知県いの町・高知県大川村)の自然や経営ノウハウについてプロから学び、地域資源を活かした起業を目指す人を応援する、2019年より続く『人財育成プログラム』です。

約6か月学んだ最後に、参加者全員が、今後取り組んでいく事業プランを発表します。

より詳しい「いしづち編集学校」の情報は、こちらの記事をご覧ください。
「熱いぜ!いしづち★バラエティに富んだ起業育成プログラム」

第3期も第2期に続き、コロナ禍の影響でオンライン授業も織り交ぜたプログラムとなりましたが終業式・最終プレゼンテーションは、感染症対策を万全にした上で、対面での開催が実現されました。

代表者5名による最終プレゼンテーション

最終プレゼンテーションとは、いしづち編集学校を受講したメンバー全員が、自らが今後取り組んでいく事業プランを発表した予選プレゼンテーションにおいて、上位5名に選ばれたメンバーによるプレゼンテーションです。

準備や質疑応答を含めた一人あたりの持ち時間は20分。
発表時間は12分でプレゼンテーションを行うというルールです。

発表されたプランを(オンライン参加を含めた)当日の参加者が新規性・独自性・実現性・収益性・成長性・地域貢献度・意欲の各項目を5段階で評価します。

参加者が自身のスマホで投票するスタイルは、オンライン参加の方も投票に参加でき、結果の集計作業も迅速にできるため、コロナ禍にもかかわらず、多くの方に評価してもらえます。

奨励賞『日本初!シャインマスカット苗木のオーナー制度』

奨励賞を獲得したのは、戸田さんによる『日本初!シャインマスカット苗木のオーナー制度~忘れられない思い出作りをご提供~』でした。

64年間、4世代で受け継がれてきた「戸田果樹園」を経営する、戸田さん。

昨年の夏に自分の子どもが誕生し、ベビー用品企業の「植樹キャンペーン」に参加した際、戸田果樹園でも植樹イベントをすれば、面白いのではないか!?とひらめいたそうです。

戸田さんは、いしづち編集学校に参加し、自分のどこに軸や柱があるのか?ということを考える ようになったそうです。

戸田さんが辿り着いたのは『恩返し』というキーワードでした。
寝る間を惜しんでブドウ畑で仕事をする祖父母の姿を見て、果樹園を潰すわけにはいかない、という想いが強くなったそうです。

経営面なども含め、祖父母や親の助けになりたい。
育ててくれた地域や自然そのものに、恩返しがしたい。

シャインマスカット苗木のオーナー制度は、現在SNSを介して参加者を募り、試験的に実施しています。

少子高齢化のため、昔に比べ一人当たりの孫へ使う金額が増えていることを受け、メインターゲットは東予地域在住のおじいちゃん・おばあちゃん。

一口3万円で27名が参加され、オーナー立ち合いの下で植樹を行いました。
植えられた苗木は4~5年の年月を かけて育ち、シャインマスカットとして収穫できるのだそう。

「果樹は、すぐには育ちません。苗木の成長や食育を通して、子どもたちや地域の方々に、農業の楽しさを知って 欲しい」と戸田さんは希望を語りました。

優秀賞『西条産おにぎりを通じたつながり作り』

優秀賞を獲得したのは、フォトグラファーの中島さんによる『西条産おにぎりで「最上」のつながり作り』でした。

西条で収穫できる、自慢のお米や農作物に、美味しいうちぬき水や塩と海苔…。

「西条には海も山もあり、季節を問わず美味しい作物や魚介類がたくさんある。西条の旬の食材を使った具を包めば、おにぎりを中心に人の輪が広がるのでは?」と閃いた中島さん。

中島さんがこのプランを考えるようになった原点は、いしづち編集学校の第2期卒業生である金光さんが中心となって取り組んでいるが「わくわくたんばらんど」が主催する西条ポタリングツアーに参加した時の出来事。

途中立ち寄った大楠の下に自転車を停め、各自が用意した昼食をとっていた時に市外からの参加者が「この辺には、軽食をテイクアウトできるお店が無いんだね。
せっかく西条に来たから、ご当地のモノが食べられると嬉しいのに。」と話しているのを耳にしたのだそう。

その時に「あ、近くにおにぎり屋さんがあればいいのに…」と思ったそうです。

大楠の下で、みんなが輪になって話しながら美味しいモノを食べるというピクニック感が楽しかったこと事もあり「美味しいおにぎりを中心に、笑顔を広げたい。西条を盛り上げたい。 」という気持ちが固まった、と中島さんは話します。

当初はフォトグラファーという自身の職業を活かした別のプランを考えていたそうですが、この経験でおにぎりに変更しようと思い立ち、ソラヤマいしづちさんに相談したところ「問題にしっかり向き合って壁にぶつかったのでしたら、全力で応援します!」と背中を押してもらえたそうです。

今後は、おにぎりの具を開発したり、古民家を活用したコミュニティスペース付きシェア店舗を運営したり、イベントで西条おにぎりフェスタを開催したり…。

「今はSNSの時代。試食会や食材の提供をお願いしたり、調理方法や具のアイディアを募集したりするなど、参加型のレシピ開発のハードルも下がっています。西条の生産者情報の発信もできるし、消費者からのフィードバックもいただけるかもしれない。」

これからが楽しみだと笑う中島さんの夢は、人の輪とともに大きく広がっています。

最優秀賞『多肉植物で酵素シロップ』

最優秀賞を獲得したのは、佐伯さんによる『ぷにうまっ!多肉植物で酵素シロップ~心と体の健康をサポート』でした。

10年前から西条で暮らす佐伯さんは、600種類以上の多肉植物を扱う多肉植物農家SaikiEngeiのオーナーの妻。
温室内では多肉植物の生産・販売を行っていて、寄せ植え体験が子どもから大人まで、幅広い世代に大人気。

佐伯さんは、家業でもある多肉植物のもつ栄養素に注目。

ビタミン・ミネラル・マグネシウム・カルシウムが豊富な食べるサプリメントでもある多肉植物を使って酵素シロップを作り、腸内環境を整えることを提案しました。

酵素シロップは、腸の調子を整える効果が期待できる発酵食品です。
シロップの使い方は、夏であれば炭酸やレモンスカッシュ、冬はホットドリンクにサングリアなど。

例えばヨーグルトにかけるなど、糖分として砂糖の代わりに使えば、年中通して美味しくいただけるのだそう。

今後はSaikiEngeiでご主人が手掛けている寄せ植え体験に加えて佐伯さんの酵素シロップの調理体験や、シロップを使った料理やお菓子作り教室を開催させる計画です。

ゆくゆくはSaikiEngeiを、植物と緑の力を健康に生かす「癒し」と、無心になって心を満足させる「遊び」のテーマパーク化したい!と笑う、佐伯さん。

保育士でもある佐伯さんは「いくつになっても、体験から身をもって学ぶことは重要!体験の引き出しが多いほど、人生は豊かになります」と話します。

一人一人、書かれている文言が違う!修了証書

この日は、いしづち編集学校の名物「あなただけの修了証書」の授与式も行われました。

約半年、いしづち編集学校に参加する受講姿勢を、運営陣がじっくりと観察。

プレゼンテーション上位3名に渡される賞状は、よくある同じ内容なんですが、参加者全員に手渡される修了証書には、「あなたは、こういったところが光っていました」「こういう性格が、周りを引っ張ってくれました」といったパーソナル情報が随所に散りばめられています。

最優秀賞を受賞した佐伯さんは「修了証書は、一人一人内容が違っていて、同じものが一つもなかった。きちんと個人として見てくれているんだな、と思うと嬉しかったですね。
みんなの前に出て受け取る価値のある修了証書でした。」と嬉しそうでした。

また、佐伯さんは「いしづち編集学校に参加したことで、バラバラだった思考がまとまり、行動に繋がり、動き始めた。私の中にあったモヤモヤとしたものが、たくさんの人たちのご協力のおかげで、今日こうしてカタチとして示せたのは本当に嬉しい」と笑顔。

いしづち編集学校の特徴の一つである「愛媛大学の学生とのワークショップ」も、佐伯さんにとっては素晴らしい経験だったそう。

受講生一人一人に大学生がサポーターとして伴走し、純粋に応援してくれたことで「こんなにも関わってくれた、この人たちのためにも頑張ろう!」という『チーム力』を感じる、良い機会になったといいます。

いろいろな可能性の広がる場、いしづち編集学校

いしづち編集学校の泉谷校長は「みなさん、実はここからがスタートです。プランを練った、ハイおしまい!ではありません。なぜそうするのか?数々の行動や考えに『問い』を立てながら、日々を送ってみてください。みなさんのご活躍を期待しています。」とエール。

観光業界のスペシャリスト、講師の出尾さんは「一人一人のプランがとても面白い。そして組み合わせたら、さらに面白くなりそうですね。例えば、多肉発酵の佐伯さんが多肉植物の発酵佃煮を作って、中島さんのおにぎりの具にしてみる。体験教室でおにぎりを握るのもいい。可能性は、無限大です。」と期待されていました。

まるで美しい詩の朗読を聴いているような発表があったり、観る人をアッと驚かせる演劇がはじまったり…―。
個性豊かな第3期生の発表が終わりました。

参加者たちは「これで一旦終わりだと思うと、すごく寂しい気持ちになってウルッときた。 」と声をそろえます。

泉谷校長が仰られたように、ここからが始まりです。
第3期生の事業プランが形となっていしづちエリアを訪れる人にとって魅力的なサービスとなりますように!

現在、いしづち編集学校4期生のためのカリキュラムに向けて準備が進行中のようです。

個性豊かな講師の皆さんと、よりそってくれる 運営スタッフと一緒に、いしづちエリアを盛り上げるために一歩踏み出してみませんか?

■ いしづち編集学校(2021年度の実施内容)
開催日時:2021年8月5日(木)~2022年1月14日(金)
開催場所:状況やテーマに応じて対面形式とオンライン形式で開催

お問い合わせ先:ソラヤマいしづち 担当 石川
お問い合わせ電場番号:0897-47-6030
メールによるお問い合わせ先:info@sorayamaishizuchi.co.jp
ソラヤマいしづち公式HPはこちら

reported by イマナニ編集部 Natuorhytym
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