さいさいきて屋の生産者さんシリーズ Vol.8 ~ビーツよ、食への新たな扉を開けゴマ!

  

星歌子まい    イマナニ体験レポート

さいさいきて屋の珍しい野菜の代表“ビーツ”です

JAおちいまばりの直販所、さいさいきて屋に“今治のちょっと、いろいろ変わっとる野菜コーナー”があるのをご存知でしたか?
スーパーや市場でもなかなか並ばない、少量生産の珍しい野菜が売られているコーナーです。

さいさいきて屋の名物の一つである、手作りポップチラシがその場所を惹き立てています。
今回はそのコーナーに出荷されている野菜の一種である“ビーツ”の生産者さんをたずねました。

取材させていただいたのは農家の益田志郎さん。
今から4年程前の2018年、娘さんのすすめで「ビーツと言う栄養価が高い野菜があるから育ててみてほしい」と頼まれたのがビーツ栽培のきっかけです。

初めはご自身の家庭用に露地で栽培を開始したところ、徐々に安定した収穫が見込めるようになりました。
そうして益田さんは、冒頭のJAおちいまばりのさいさいきて屋に“珍しい野菜”としてビーツを出荷するようになりました。
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さいさいきて屋の味のあるポップチラシ
さいさいきて屋の味のあるポップチラシ 様々な品種のビーツの葉(※一番手前はレタス) ビーツは手で根本から簡単に引き抜ける。 益田さんのハウスで獲れた各種ビーツ ビーツと言えばこの真っ赤な色素が大の特徴。触ると指もほんのり紅色に染まる。
益田さんはビーツをハウスと露地の両方で栽培しています。
連作を嫌う野菜なので、益田さんが所有する3棟のハウス内を3年間隔で転々と移動、露地でも同様に移動しながら種植えします。
「途中でどの年にどこに植えたか分からなくなりそうになりますよ(笑)」と、益田さんは笑いながらハウス内を案内してくれます。

益田さんが育てているビーツは全部で4種類。
一般的な“デトロイトダークレッド”、人参やサツマイモとよく似た形の“シリンダー”、表皮がニンジンの様に鮮やかなオレンジ色をした“オレンジ”、そして“チオギア”です。

益田さんの娘さんの言葉通り、ビーツは栄養価の高い野菜として知られています。
見た目はカブとよく似ていますが、サトウダイコンと同じホウレンソウと同類のアカザ科です。
食品から摂取するのが難しいとされるナトリウム、カリウム、リンなどのミネラルが豊富で、またビタミンも多く含むそうです。

益田さんの家ではビーツを使った“ボルシチ”や、生のビーツをバナナや牛乳と一緒にジューサーでミックスした“スムージー”などを作って普段からよく召し上がるそうです。

益田さんが栽培している4種のうち、“デトロイトダークレッド”はボルシチやカレー、シチューなどの煮込み系にお勧め。
色鮮やかな“オレンジ”は、その色味を活かしてサラダに用いてほしいそうです。

もちろん土から抜いて出荷後なるべく早くに調理するのが一番お勧めですが、一度に食べきれそうにないときには厚み1㎝ほどにスライスして冷凍で保存することをお勧めします。

益田さんは「茹でると色が落ちやすいので、加熱するならアルミ箔で包んでオーブンで焼く方法がいいですよ」とのこと。
丸ままでも良いですし、お好きなサイズにカットしたものでも構いません。
ビーツの栄養素をなるべく逃したくない方は、丸ごとをオーブンで加熱してみてくださいね。
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デトロイトダークレッド
デトロイトダークレッド チオギア 見事な紅白渦巻き模様!チオギアの輪切り。 他のビーツと比べ、長太いフォルムのシリンダー オレンジ

食べてみないと分からない!新感覚のビーツ

ビーツ生産者の益田さんはご実家が農家をされていました。
ご本人は長年サラリーマンとして会社務めをし、退職を機に実家の農業を継ぎました。
今はそれから9年が経ったところです。

もともとご実家は米や麦の穀物生産が中心の農家さんでしたが、益田さんは小松菜、カブや大根などの野菜も育てています。

ビーツの可食部である根の部分はもちろん土に埋まった状態で育つので、「ビーツの収穫時を見極めるのには少々気を遣います」と益田さんは言います。

「比較的、デトロイトダークレッドは育てやすいです。他の品種は大きくなりやすい」とのこと。
また水やりや肥料のあげ方でも根の肥大の度合いが変化するため、いい塩梅を見極めるのはなかなかに難しいのだそうです。

「退職後、のんびり農家でもしようかなと思って始めたのですが、そうでもなかったです(笑)」と、ビーツや小松菜、大根などの苗を見渡しながら益田さんは笑って話してくれました。

ビーツ栽培を始めた当初、さいさいきて屋に商品を出荷するとお客さんから直接「これ(ビーツ)どう食べるん?」「どう調理したらいいん?」と、よくたずねられました。

そこで益田さんはビーツについてのPRポップチラシを用意、またビーツの商品ラベルにも工夫を凝らしました。
ポップチラシにはビーツをカッティングした画像とともに、調理方法・保存方法などを記載しています。
それによってビーツへの取っ付きがよくなったり、興味を持ってもらえる人も増えたようです。

さいさいきて屋でのビーツ人気にも手ごたえを感じ始めました。
ハウス栽培のビーツは7、8月ごろの出荷がピークで、露地栽培のものは12、1月ごろが出荷ピークになるそうです。
採れたて新鮮な珍しいビーツをぜひ手に取って味わってみてください!
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地上にほんの少しだけ顔を出しているビーツ。収穫時をこの状態で確かめる。
地上にほんの少しだけ顔を出しているビーツ。収穫時をこの状態で確かめる。 ビーツの大きさ、成長具合を吟味する益田さん ポップチラシ さいさいきて屋のビーツコーナー 益田さんの仕事場、ビニールハウス
さて、ここからは恒例のクッキングコーナーです!
中がうずまき模様になっていると益田さんが教えてくれた品種“チオギア”をまずはカットしてみます。
生のビーツに縦の輪切りで包丁を入れてみると、感触はカブや大根を切っている感じです。

さてその中身は…?
ペロペロキャンディーのような、白地に赤紫色のうずまきがくっきりと出ています!!

“デトロイトダークレッド”と“チオギア”は、益田さんがよく作ると言っていた“ボルシチ”にします。
少し炒めた牛肉、キャベツ、玉ねぎ、ジャガイモ、ニンニク、ブイヨンを入れ数十分煮込んだら、くし型にカットしたビーツを加えます。さらにトマト缶を入れて肉が柔らかくなるまで煮込みました。

実は私、ボルシチを食べたことがありません。
どんなお味になるのか、期待と少しの不安が入交りながら仕上げに塩・胡椒で調整。
さてそのお味とは?!

下ごしらえ段階で生のビーツを食していたのですが、食感はカブや大根のようでありながら風味は…ホウレンソウを凝縮したようなお味でした。
若干の甘味がありますが少しクセを感じます。
このクセが栄養価の証です。

そして、ひとかけら食べただけでも口の中は赤紫色。
その色素が、ボルシチのトマト缶の色に負けず鮮やかな色味を足して食欲をそそる見た目を演出します。

それでは、いざボルシチの実食です!
さわやか~な酸味、まろみがあります。

このお味がお肉との相性が良いように思います。
塩・胡椒の加減でパンチの度合いは変わりますが、肉と野菜が、ビーツのおかげか凄くまろやかに馴染んで奥野深い旨味を堪能できます。
これは美味しい!しっかり具材を食べるスープです。

さてもう一品、“シリンダー”をオーブンで丸焼きにしました。生でカットすると栄養が外に出てしまうので、丸ままアルミ箔で巻いて200℃前後のオーブンで約1時間ほど焼きます。

出来上がりの見た目はまさに“焼き芋”。
表皮は手でスルッと剥けます、と同時にビーツの濃い色素で指先が赤紫色に染まりました。

表皮が剥けたら2、3㎝幅にカットして、ビネガーとオリーブオイル、塩を混ぜたものに漬けこんで我が家流の“ピクルス風”を作ります。
漬けこんで1日経つと、ピクルス液はビーツの色が染み出てしっかり赤紫色に染まっていました。

ビーツのピクルスのお味はと言うと、しっかり味も沁み込んでさっぱりして美味しい!
これは作り置き料理にお勧めです!
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具材を鍋に入れて煮込む直前。このあとトマト缶を入れる。
具材を鍋に入れて煮込む直前。このあとトマト缶を入れる。 トマト缶を入れて煮込む前。ここから2時間ほど煮込みました。 ボルシチ完成 焼き芋みたいな見た目の、オーブンで焼き立て“シリンダービーツ” ビーツのピクルス。しっかりとした赤紫色が綺麗。
今回は、売られているのも珍しい野菜ビーツの、育てている現場を拝見できると言う貴重な体験をさせていただきました。
色素の濃さやホウレンソウの様な風味だったり、調理して食べてみるとまたまた驚きがいっぱいのビーツ。

ビーツと出会えたおかげで、“ボルシチ”料理にも初挑戦して初実食できました。
一つ手に入れるだけで新しいことずくめの経験と栄養がとれるビーツは、食への新たな扉を開いてくれます。

また、益田さんはこれからも意欲的に新しい野菜の生産に取り組んでいくようです。
他にもまだまだお目見えする珍しい野菜たち。

ぜひ皆さんも、JAおちいまばりのさいさいきて屋に足を運んで、どんどん出荷される“珍しい野菜・果物”を発掘してみてくださいね!
さいさいきて屋
開催時間/9:00~18:00 定休日 1月1日~1月3日
開催場所/さいさいきて屋(愛媛県今治市中寺279-1)
駐車場/あり230台
問い合わせ先/さいさいきて屋 TEL.0898-33-3131
URL/https://www.ja-ochiima.or.jp/business/saisaikiteya/saisaikiteya/
reported by 星歌子まい