【面河山岳博物館 特別展 「怪物昆虫」 愛媛/久万高原町】 身近に潜む怪物たちに会いに行こう 【PR】

  

アッと驚く愛媛の昆虫たちに思わず二度見!?

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“昆虫展”と聞くと、子どもに大人気のカブトムシやクワガタムシ、色鮮やかな蝶や珍しい外国の昆虫を想像するかもしれません。

ですが、裏山や学校の近く、川や公園など、私達の身の周りは思わず二度見してしまうような奇妙な昆虫たちがたくさんいます!
それも、想像もつかないような生態……怪物のような姿の昆虫が!

久万高原町にある「面河山岳博物館」では、そんな珍しくも身近にいる奇妙な昆虫たちにスポットを当てた特別展『怪物昆虫』を11月26日(日)まで開催中。
知られざる愛媛の昆虫の世界を覗いてみましょう!

西日本の最高峰である石鎚山(1982m)へ続くドライビングロード“石鎚スカイライン”と、奇岩やエメラルドグリーンの清流が流れる名勝地“面河渓”の分岐点にある「面河山岳博物館」。

約3,000点の資料からなる常設展示では、石鎚山系に生息する動植物や岩石、石鎚山岳信仰・登山史などを紹介しています。
毎年工夫をこらした企画展・特別展では、テーマに合わせた観察会や講演会なども開催。

未知なる昆虫の世界にようこそ!

今回の特別展では、学芸員が独断と偏見で選んだ見た目や生態などが怪物的な昆虫たちが登場!
標本や解説パネル、野外で観察するのがなかなか難しい昆虫たちは貴重な映像で紹介されています。

そんな分かりやすく面白い展示ですが、その魅力をもっともっと知ってもらおうと、本特集では学芸員の矢野さん(写真左)、安田さん(写真右)にお話をお伺いしてきました!

愛媛でしか見られない新種や世界初展示もあるので、じ~っくり楽しんでくださいね♪

まるで南部鉄器のような渋かっこいい「マルドロムシ」

はじめに紹介するのは、安田さんが大学時代から研究されている「マルドロムシ」。

マルドロムシ科はカブトムシやテントウムシと同じコウチュウ目で、外骨格が発達していて体表がかたく、前翅が背中側を覆っています。
コウチュウ目は世界に35万種以上いる最大のグループで、大きくてカッコいい種類がたくさんいます。

しかし「マルドロムシ」の大きさはなんと1.5mm~最大でも2㎜程度!

【河川敷でマルドロムシを探す安田さん】
河川敷の砂地や池の縁など湿ったところに生息しています。
とっても小さいうえに砂や泥粒を背負ってカモフラージュするため見つけるのが難しい!

実際に展示されているのを見ると、印刷された文字よりも小さいんですね!

愛媛大学の昆虫コレクションの中に、新種だろうというものを見つけたことがきっかけに興味を持たれたそうです。
安田さんは、展示されている「サトウマルドロムシ」と「タカハシマルドロムシ」を命名したほか、愛媛にいるマルドロムシの仲間も見つけ出して公表したすごい人!
博物館で見かけた人はぜひ話を聞いてみよう!

そんな安田さんを魅了している「マルドロムシ」ですが、体の表面構造の違いにより3つのグループに分けられます。

どのグループもそれぞれ特徴的な胸部のへこみ方で、なんだか“南部鉄器”のような渋さがありますよね?
実物も電子顕微鏡画像もなかなかお目にかかれないので、じっくり堪能してくださいね。

また、みなさんも水辺に遊びに行った際は、じ~っと地面を観察して、ちょこまかと動く砂を探してみてください!
もしかしたら新種の「マルドロムシ」がいるかも?

ヒヨコみたいな可愛さでクモを食べちゃう「カマキリモドキ」

©TAKASHI SHINKAI

こちらは「ヒメカマキリモドキ」のサナギですが、なんだかヒヨコに似てあどけない可愛さがありませんか?

カマキリモドキ科はウスバカゲロウに近い仲間ですが、見た目が黄色っぽい種類が多く、翅(はね)も透明なので、成虫はハチに似ています。

ちなみに、ウスバカゲロウの幼虫はアリジゴクです!

「カマキリモドキ」の名にふさわしい立派な“鎌”をもっているのに、カマキリでもハチでもない。
そんな不思議な見た目をしたカマキリモドキ類。
幼虫は、クモの卵のう(卵を包んでいる丈夫な袋状のもの)に侵入し、卵を食べて育ちます。

生まれた幼虫はメスのクモに乗り移って卵を産むのを待ち、運よく卵にありつけた個体だけがサナギになるという、なんとも波乱万丈な生活ですね!

カマキリモドキ類の幼虫はクモに乗り移ると知られていますが、日本で一番大きな「オオカマキリモドキ」は、どのようなクモを利用するのか分かっていません。

そもそも成虫も狙って観察することが難しいと言われるカマキリモドキ類の中でも、「オオカマキリモドキ」は生息地が限られていて、その生態は謎に満ちています。
しかし、なぜか久万高原町では見つかることが多く、自動販売機の光に集まっていることも!

ぜひいろんな角度から標本を観察してみてください。
野外でもこの独特な、どこか可愛いフォルムのカマキリモドキ類に会えるといいですよね!

クモを操る魔術師「クモヒメバチ」

クモを食べるハチというイメージからは想像できないくらい、こちらも標本で見ると小さな「クモヒメバチ」。

昆虫は、名前が付いているだけでも100万種類ほどいますが、その大半は1cmより小さく、普段目にしている虫は虫全体でもごく一部!

そして、普段は強力な捕食者として昆虫を食べてしまうクモに自分から近づき、おびき寄せて狩りをする「マダラコブクモヒメバチ」。
会場では、その狩りのシーンを解説している動画が見られます。

【網にかかったフリをするクモヒメバチ】

強者を捕食するために、それだけ独自の進化を遂げたということですが、意外にもこの「クモヒメバチ」は里山環境では比較的見つけやすい種類。
久万高原町にも個体数が多く、「ふるさと旅行村」などの木造建物周辺で観察できます。

【クモヒメバチに寄生されたゴミグモ】

捕食シーンもですが、その後クモに寄生して操ってしまうのがなんとも衝撃的!
来場者アンケートでもダントツで印象に残ったというコメントが多かったのがこの昆虫です。

寄生して操るってどういうこと?と疑問に思いますよね……。
こんな昆虫が身近に居たのか!とビックリすること間違いなしなので、答え合わせはぜひ本展で!
パネルの解説と一緒にじっくり見てみてくださいね。

僕たち「オオキベリアオゴミムシ」はカエルしか食べません!

絶滅危惧種に指定されている「オオキベリアオゴミムシ」。
以前は水田でよく見かける種でしたが、農薬の多用や里山環境の変化からその数を年々減らし、今では愛媛県のレッドリストにも載っています。

成虫は肉食性でミミズや他の昆虫も食べますが、幼虫はなんと“カエル”しか食べず、他のエサを食べても成長できないそうです!

カエルにぴったりとくっ付いて捕食する姿は、まるで「コレしか食べない!」と主張するイヤイヤ期の子どものよう?
偏食してるとなかなか成長できないよ……!?

しかし幼虫のカエルに対する執念は強く、なんと大アゴを使って餌のフリをしてカエルを呼び寄せて食べてしまうそうです!
カエル……そんなに美味しいんでしょうか?気になりますね。

「ゴミアシナガサシガメ」は古民家に潜む守り神かも?

「ゴミアシナガサシガメ」という名前と、カマキリやアメンボみたいな見た目からは全く想像できませんが、実はこの昆虫、カメムシなんです!

とにかく珍しく、日本中どこを探しても見つからないほど幻のカメムシ。
生態もよく分かっておらず、絶滅危惧種にも指定されています。

愛媛でも約30年間見つかっていませんでしたが、2019年新居浜市の古民家から見つかったことから矢野さんが調査を重ね、愛媛県内では新居浜市や西条市などで発見されているそうです。
古民家は私有地ということもあり、自由に調査ができないのも発見が進まない要因のひとつ。

本展では、愛媛県で30年ぶりに発見された「ゴミアシナガサシガメ」と、未発表の飼育下でクモを襲う貴重な映像も公開されています。

この昆虫もクモを食べるので、マニアックな進化を遂げてきたんだなぁと思いますね!

世界初公開「サラガミネツヤメクラチビゴミムシ」

地中や洞窟に生息する「チビゴミムシ」は、翅(はね)が退化して飛べなくなっているので、その地域ごとの固有種がいます。

その中でも「サラガミネツヤメクラチビゴミムシ」は2020年に新種として発表されたばかり。
なので、標本として一般に公開されるのも世界初です!

6mmほどとこんなに小さいのに、チビゴミムシの中では体が大きいのが特徴で、専門的に見ていくと体に生えている感覚毛の配列が違っているなど細かい違いによって新種かどうか分類されるそうです。

皿ヶ嶺は標高1271mで初心者でも登山しやすい山として地元ハイカーに人気な場所ですが、普通に歩いているだけでは絶対に見つかりません。
本気で丸一日探していても1匹見つかるかどうかというレア度ですが、ハイキングに出かけた際は新鮮な空気と雄大な景色を楽しむだけでなく、小さな世界にも目を向けてみてはいかがでしょうか!?

常設展やミュージアムショップも大注目!

1階の常設展では、開館当初から展示されているものも多く、石鎚山系の動植物を中心に「面河山岳博物館」周辺の自然環境について知ることができます。

特に人気なのは動物のはく製が置いてあるジオラマ。
日本特産のニホンカモシカやニホンモモンガなどの希少な哺乳類をはじめ、石鎚山系には30種を超える哺乳類が生息しているというので驚きです。

この他にも1500万年前の火山活動やそれによってできた岩石など、石鎚山の成り立ちも展示しています。
また、石鎚山は西日本最高峰なので、生えている植物も珍しいものが多いです。
時代の流れや環境に合わせて築き上げられた石鎚山・面河渓の自然をいろいろな方面から学んでみませんか?

愛媛県では珍しい博物館グッズが揃うミュージアムショップも必見です!
昆虫やカエル、イモリなどをモチーフにした作家もののグッズや、地元大学生がデザインした「ひきがえるのTシャツ」など幅広い品揃え。
思わず買ってしまいたくなるような運命的な出会いが待っているかもしれませんよ!?

そして、11月10日(金)は、愛媛大学農学の吉富博之さんをお招きして特別講演会「怪虫ハンター、世界をゆく」を開催!
毎年新種の昆虫を発表する研究者が世界の怪物昆虫について語ります。

久万高原町産業文化会館ホールにて19:00~20:30の予定です。
参加費たったの100円で、分かりやすく面白い昆虫のお話が聞けるチャンス!ぜひ足を運んでみてくださいね。
※専用フォームもしくは、博物館まで電話かFaxでの事前申し込み(名前と連絡先)が必要です。
 詳しくは公式サイトをご確認ください。

■ 面河山岳博物館 第56回特別展「怪物昆虫」
開催日/2023年7月22日(土)~11月26日(日)
開館時間/9:30~17:00(入館は16:30まで)
閉館日/月曜(祝日の場合は翌日休)
料金/【一般】450円【小中学生】250円
※その他、団体や高齢者割引あり
住所/愛媛県上浮穴郡久万高原町若山650-1
お問い合わせ/ 0892-58-2130
久万高原町 公式HPはこちら
イマナニで「面河山岳博物館」の情報を見る

reported by イマナニ編集部 さきち
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