令和初の椿まつりで、立春を祝おう
約50万人の参拝客で賑わう『椿神社』
『椿神社』の名前で親しまれている『伊豫豆比古命神社(いよずひこのみことじんじゃ)』で、今年も椿まつりが行なわれます。
椿まつりは旧暦の1月7日・8日・9日に斎行されるので、毎年、日にちが違います。
2020年は1月31日(金)、2月1日(土)、2日(日)の3日間となっているので要チェック!
3日間で約50万人もの参拝客が訪れるという椿まつり。
『椿神社』の境内だけでなく、参道には約800もの屋台が軒を連ね、大変な賑わいを見せます。
なぜこんなにも屋台がたくさん並んでいるの?
そもそも椿まつりって何? 何をする祭りなの!?
――という疑問に今回は詳しくお答えしていきます。
何も知らずに「椿まつりへ行く」のと、「椿まつりの魅力を知った上で参拝に行く」のとでは大きな違いがありますよね。
知識が増えれば楽しさも倍増!
ちょっとした豆知識として、記事を読んでいただけたら幸いです。
『伊豫豆比古命神社』と『椿まつり』について
椿まつりが行なわれる『伊豫豆比古命神社』は、2300年もの歴史を持つ縁起開運、商売繁昌、家内安全。
そして縁結びの神様として親しまれている神社です。
愛媛県名の由来となった“愛比売命(えひめのみこと)”が祀られていることでも知られており、県民としては、訪れるだけでパワーを分けていただけたような気持ちになれる神社でもあります。
椿まつりは“立春を祝うまつり”として、古来より人々に愛されてきました。
まつりが終わったあとに田を起し、種まきを始めることから「伊予路に春を呼ぶ」ともいわれているのですが――、なぜか椿まつり当日は気温がグッと下がり、一年で一番寒くなるのです。
雪がチラチラと舞い、白い吐息がアチラコチラで飛び交い、小さな子どものほっぺが真っ赤になっている愛らしい姿を見かけることも。
あたたかい服装で参拝に訪れるのが正解ですよ。
中日に行なわれる神事『お忍びの渡御』
中日(2月1日)の夕方からは神事が行なわれます。
全面を金箔に飾られた神輿に御祭神をおうつしし、北土居町にある『金刀比羅神社』のお旅所までかいていくのですが、神輿が社殿より参道・楼門へと至る間、かき夫は一切掛声を発することができません。
神輿も揺らさず、ただただ静かに行列するのみ。
静々と御出御される様は、厳粛にて幻想的。
密やかに神様がおでましになるように見えることから『お忍びの渡御(おしのびのとぎょ)』と呼ばれるようになったそうです。
神様から小銭を借りて、平安を祈る
平日は厳かな雰囲気が漂う社殿も、椿まつりの3日間は参拝客で溢れかえります。
特に休日&晴天の日は参拝客が多く、鳥居のところまで行列ができることも…。
しかし『伊豫豆比古命神社』には、“神様をお招きする”という意味のある“鈴”がたくさん並んでいるので、大行列ができていても比較的スムーズに進んでいるような気がします。
特に今年は“令和初の椿まつりであること”“土日であること”から大混雑を予想しますが、せっかく訪れたのですから、神様にご挨拶をし、平安を祈りたいですね。
椿まつりの3日間は、『貸銭(かしぜに)神事』と呼ばれる、全国でもあまり類を見ない特殊な宗教行事も行なわれています。
小額の守り金を借り、翌年は倍額にしてお返しするこちらの神事。
借りる際、氏名や住所を尋ねられることはなく、誰もが無条件に借りることができます。
神様と人との信頼関係により成り立っているのでしょう。
神社によると「本年も生活に励み、来年無事にお返しの参拝ができる事を祈る」との意味があるのだそうです。
▲『椿神社』の愛称のとおり、境内には椿をモチーフにしたものがたくさん!
絵馬も華やかで素敵。
▲神社のマスコット『冨久椿(ふくつばき)』も忘れてはいけません。
椿まつり期間中のみの特別授与品もあるので、気になる方は授与所へ足を運んでみましょう。
椿まつりといえば『縁起物』と『おたやん飴』
鳥居のそばでは、たくさんの『縁起物』が売られています。
「昔、神社の周辺は一面の海原だったとの説が残っている」と話してくださったのは、毎年、椿まつりで『縁起物』を売っている男性。
本殿にあがる石段の途中には『奏者社(そうじゃしゃ)』があります。
こちらに伊豫豆比古命と伊豫豆比売命が船を寄せた、との伝説が残っていることから、「買い集めた縁起物はすべて船に乗せる」という決まりがあるのだとか。
縁起物の種類は『熊手』『ザル』『俵』『宝船』『扇』の5種類。
一気にすべてを買うのではなく、毎年ひとつずつ揃えていきます。
まずは『熊手』で福や運をかき集め、『ザル』ですくい、『俵』に詰めて『宝船』に乗せ、『扇』で風を送って船を進めましょう。
6年目からは前回よりもワンサイズ大きい『縁起物』をまた5年かけて揃えます。
もちろん11年目からは、さらに大きなサイズを…。
椿まつりを楽しんでいると、とても大きなサイズの『縁起物』を担いだ人に出会います。
何十年、何百年と家系や商売が続いているのでしょう。
「凄い!」と思うと同時に、“縁起”をわけていただいたような気分になり、嬉しくなりますよ。
▲こちらは『熊手』。
まさに御利益アリ!といった雰囲気ですね。
買い方を聞けば丁寧に教えてくれますので、今年からチャレンジしてみませんか?
『縁起物』と同じく人気があるのは、伊予弁で“健康な娘”との意味がある『おたやん飴』です。
切っても切っても“おたやん”の顔が出てくるので、いつまでも「可愛い」が続きます。
定番のロングタイプから食べやすくカットされたタイプまで、様々な形状で売られていますので、お気に入りの一品を探す楽しみも◎
サイズや量にもよりますが、200円~300円とお値段も手頃なので、ちょっとしたお土産にもピッタリです。
ただし注意点がひとつだけ。
とっても美味しい飴なのですが、ちょっと歯にくっつきやすいという難も…。
年齢によっては避けたほうが良いかもしれませんね。
参道に並んだ屋台の数は約800!
椿まつりのお楽しみといえば、参道にずらりと並んだ約800もの屋台! という人も多いのではないでしょうか。
その昔、椿まつりで祈りを捧げたあとは、大きな椿の木の下で“山の幸”と“海の幸”を交換する市が開かれていたそうです。
さかんに情報交換も交わされていたのだとか。
通貨でお買い物をする以上“物々交換”とはいえないのかも知れませんが、「なぜ椿まつりにはたくさんの屋台が並んでいるのか」という疑問の答えが見つかったような気がします。
屋台の中には、椅子とテーブルが用意されているところもあります。
席と席が近い屋台では、自然と会話をする機会も。
ぜひ、“情報交換”も楽しんでくださいね。
椿まつりを楽しむために
例年、多くの参拝客で賑わうまつりなので、それなりに準備をしておくことも大切です。
混み合いそうな時間に出かけるのであれば、ベビーカーの使用やペットを連れての参拝は控えた方がよいかもしれません。
参道にはコンビニがいくつかあるので便利なのですが、お手洗いが使えない店舗もあるので要注意。
仮設トイレか、神社のトイレを使用しましょう。
▲神社には多目的トイレがあるので、おむつ交換もできますよ。
また神社のそばには交番があるので、万が一、子どもが迷子になったときや落とし物をしたとき、トラブルにあったときも安心です。
とはいえ、お世話にならないのが一番!
安全に気を付けて、椿まつりを楽しみましょうね。
最後に交通情報ですが、神社の駐車場はすべて使用不可となっています。
車で行く人は、神社のまわりにたくさんある臨時駐車場を利用しましょう。
神社に近ければ近いほど駐車料は高くなっていますが、相場としては500円~1,500円くらいが目安です。
臨時バスも出ていますので、上手に利用してくださいね。
家族全員で一年間の幸せを願う
松山に嫁いで15年。
1年も欠かすことなく椿まつりを訪れていますが、今回の取材で、新たに知った情報もたくさんありました。
古来より続く“まつり”というのは、本当に奥が深くて楽しいですね。
今年の椿まつりも家族全員で「縁起開運」「商売繁昌」「家内安全」を祈ってきたいと思います!
■伊豫豆比古命神社
住所/愛媛県松山市居相2-2-1
電話/089-956-0321(椿神社社務所)
駐車場/200台(椿まつり期間中は駐車禁止)
伊豫豆比古命神社 公式HPはこちら
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■椿まつり
開催日/2020年1月31日(金)、2月1日(土)、2日(日)
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