もはやスイーツ!砥部町広田産の美味しいキャベツはもう食べた?
絶景!砥部町広田の隠れた特産品『キャベツ』の畑!
「そこから下に降りて、見上げてみ!絶景よ」
松山の中心部から車で約50分移動し、砥部町広田の山中にやってきた筆者。
雲一つない青空の下には、青々としたキャベツ畑が広がっていました。
観賞用として栽培されていたという歴史のあるキャベツは、漢字で書くと「甘藍」(かんらん)。
甘藍には葉牡丹という意味もあり、こうして見ると地面に直接、緑の花が咲いているかのようで、綺麗!
広田の満穂・玉谷地区では、このような立派なキャベツ畑を、各所で見ることができます。
今回は、甘くて美味しい砥部町広田の特産品「キャベツ」を育て続けて50年!
広田でキャベツ栽培といえばこの人、相原利雄さんにお話を伺ってきました。
「昔、電力会社が作る冊子の表紙をな、うちとこのキャベツ畑が飾ったんよ」
目を細めながら、自慢のキャベツ畑を見せてくださる相原さん。
相原家では年に2回、数にしておよそ20万株を、いくつもの畑に栽培しています。
2回の収穫期の内訳は、4月~7月いっぱいまで楽しめる「春夏」と、9月中~12月まで楽しめる「夏秋」。
こうした年間計画で、美味しいキャベツを作り続けているのだそう。
高原野菜の甘さの理由
「山のキャベツはね、甘味が違うんよ。今では高原野菜なんて呼ばれとるな」
キャベツは、寒さや霜に当たると、甘味が増す野菜です。
砥部町広田は標高が高く、秋になって日が暮れると、吐く息がふぅっと白くなります。
そんな寒い夜に広田のキャベツは、ぐんと甘く育つのです。
外側から内側へ向かって、くるくると巻いていき、見覚えのあるキャベツになります。
写真は、巻く前のキャベツ。
ここから、みなさんが知っているキャベツになります。
知ってる?キャベツの品種
「一般の人は、キャベツの品種なんて知らんでしょ?だって、表示する義務が無いけん」
なるほど、スーパーでも商品名は「キャベツ」で、品種名は特に書いてありません。
味に強い主張がないので何にでも合わせやすく、料理の量も増やすことができる万能な野菜、キャベツ。
何度も何度も改良を重ねられ、今では100種類近くあるといわれています。
相原さんは、農業を始められた17歳頃からこの50年間で、何十種類もの新品種のタネを提供してもらい、試作してきた経験があるそう。
相原さんの育てるキャベツは、なんと種から。
ビニールハウスの育苗棟で発芽させ、その後に定植していきます。
「同じ種を使っても、水・日照量・肥料などの条件によって、見た目も味も変わるよ」
味の違いが分かるかな?と笑われながらも、筆者は4種類のキャベツを受け取りました。
キャベツは大きく扁円球(へんえんきゅう)と豊円球(ほうえんきゅう)に分けられます。
取材時期が夏秋だったため、夏秋の主流である扁円球でやや固めの品種が3種類と、豊円球が1種類です。
●YCRげっこう(月光):扁円球
●秋徳SP:豊円球
●BCR龍月:扁円球
●がいな:扁円球
扁円球はやや固めでしっかりとしているので煮込み料理に適していて…
豊円球は柔らかいので、サッと火を通して食べるものに向いているそう。
さぁさぁ、どんな違いがあるのか楽しみです。
贅沢!採れたてキャベツのあの部分をガブリ!
「キャベツ農家はね、キャベツの中心部分を食べるんです!結構甘いんですよ」
そう教えてくださったのは相原さんの奥さま、紀美江さん。
キャベツを四等分に切り、その中心の柔らかい部分を食べて味の評価をするそうです。
さて、自宅に持ち帰った4種類のキャベツの断面を確認した後、さっそくかじってみました。
キャベツは本当に甘いのでしょうか?
そして違いは、分かるのでしょうか?
●YCRげっこう(月光):扁円球:甘い
●秋徳SP:豊円球:甘いが、後味がやや苦い
●BCR龍月:扁円球:後味がやや苦い
●がいな:扁円球:とても甘い
あら?
私の予想では、柔らかな豊円球の秋徳SPが一番甘いと思っていましたが…
私と家族の評価では、硬い品種である扁円球の方が甘いという判断に。
特に「がいな」がダントツで甘く、まるでスイーツのようでした。
キャベツのおつまみ、品種ごとの食べ比べ!
お次は、同じ調理法での食べ比べ調査です。
先ほどは甘さの検証だったので、今回は葉の食感などに注目しました。
■ キャベツと塩昆布のおつまみ(1~2人分)
・キャベツ50g
・塩昆布5g
こちらは検証のための、シンプルレシピです。
飲み屋さんの付け出しで出てくるキャベツと塩昆布のおつまみには、ゴマ油が含まれていることが多いのですが、今回は敢えてごま油を省きました。
●YCRげっこう(月光):扁円球:ややキャベツらしさは薄いが、美味しい。
●秋徳SP:豊円球:やや青臭さが鼻から抜けるが、キャベツっぽさはダントツ
●BCR龍月:扁円球:青臭い匂いが気になるが、キャベツらしい
●がいな:扁円球:とても美味しく、キャベツのシャキシャキさを感じられる
ごま油を抜いたことで、キャベツ葉そのものの美味しさを味わうことができました。
この食べ方でも、筆者の家族には「がいな」が人気!
その後、ごま油を追加すると、どの品種もとても美味いおつまみになりましたよ。
キャベツ農家の今日の一品
農家の方々は、一体どんなご飯を食べているのでしょう…?
ちょっと、気になりませんか?
相原さんのお宅でよく作るという『ジャガイモとキャベツの含ませ煮』と『キャベツが主役の八宝菜』を、筆者が自宅で再現してみました。
ジャガイモは、広田でよく栽培されているというキタアカリが甘くてオススメだそう。
煮崩れが気になる方は、煮崩れに強い品種であるメークインを使ってください。
『ジャガイモの含ませ煮』
ジャガイモを一口大に切り、味が含みやすいようにキャベツを手で食べやすい大きさに切ります。
和風だし・砂糖・醤油・水を入れ、ジャガイモに火が通れば出来上がり。
今回は彩りに人参を入れましたが、他にはお肉やタマネギを入れてもOK!
和風味も美味しいのですが、コンソメ味もポトフのようで美味しかったですよ。
『キャベツが主役の八宝菜』
ごま油を引いたフライパンに一口大に切った豚肉を入れて、塩コショウで炒め、別の皿にとっておきます。
ボウルいっぱいのキャベツは、手でちぎって一口大に、原木椎茸や人参、イカなどの具材を適度な大きさに切り、先ほどのフライパンで炒めましょう。
キャベツがしんなりして、他の具材にも火が通ったら、豚肉を戻し入れて、水を加えて中華味で味を調え、水溶き片栗粉でとろみをつけたら出来上がり!
正直なところ、油で炒めるとキャベツの甘味が引き出されるため…
塩コショウのみの味付けの「キャベツ炒め」でも、美味しくいただけました!
素材が美味しいと、シンプルな味付けでもメインの一品になるのですね。
どちらも、寒くなってきたこれからの季節にもピッタリです。
美味しい広田産のキャベツはどこで買えるの?
広田産のキャベツは、道の駅ひろた峡の館で購入することができます。
しかし前述した通り、そちらでもスーパーと同じく品種名は記載されていません。
キャベツの柔らかさの違いはあれど、煮こんで煮崩れるスピードの違いはないため、記載するというルールは無いのです。
記載したところで、一般の方はあまり品種の差を知らないので、選ぶ基準にはならず…
生産者さんのお手間が増えるだけかもしれません。
キャベツの時期になると道の駅ひろた峡の館でリピート購入されている、食通の方もいらっしゃいます。
今後、食通の消費者が多くなり、品種名の記載を願う声が大きくなれば、品種名が記載される…という日も近いかも!?
今年は12月いっぱいが、広田の甘いキャベツを味わう最高のチャンス!
ぜひ、美味しいキャベツを食べてみてくださいね。
■ 道の駅ひろた「峡の館」
住所:愛媛県伊予郡砥部町総津162-1
お問い合わせ先:ひろた 峡の館
お問い合わせTEL:089-969-2070
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